映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ゴーン・ガール

2014年12月30日 | 映画(か行)
怖すぎる結婚生活



* * * * * * * * * *

結婚5周年の記念日に妻エイミー(ロザムンド・パイク)が失踪。
自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。
警察は夫ニック(ベン・アフレック)に疑いをかけ、捜査を進める。
メディアがこの事件を取り上げたことで、
ニックに全米から疑いの目が向けられるが・・・。



妻が失踪。
実はその夫が殺人犯・・・というのはまあ、ありがちな話。
夫ニックはその日、朝からバーでお酒を飲んだりしており、
いかにも怪しい。
が、しかし! 
物語は予想を裏切るまさかの展開を見せていきます。



本作、妻の失踪事件もさることながら、
そのことを報道するメディア、テレビやらネットやらが
大きな要素を占めています。
というのも、この妻エイミー、
児童文学作家として有名な両親が、彼女をモデルに
「アメージング・エイミー」というシリーズ本を出版しており、
つまり彼女は子供の頃から私生活を世間に晒していたに等しい。
そして常に理想の子ども像、「完璧な少女」で在り続けていた。
だからこの結婚でエイミーは夫ニックにも完璧な夫であり続けて欲しかったし、
完璧な結婚を演じ続けたかったのです。本当は。
しかし結婚前は確かに理想の恋人だったのですが、
結婚してみると当然のことながら理想とは違う。
夫は失業し、NYから夫の実家のあるミズーリ州のど田舎に越してこなければならず、
しかもあろうことか浮気までしている。
常にマスコミからもてはやされ賞賛の目で見られていた彼女が、
この凋落に耐えられなくなってしまうのです。
・・・が、彼女のやり方はいかにも常軌を逸している。



オソロシイです。
いくらなんでもそこまでの仕打ちを受けなければならないほどの
ひどいことをニックがしていたとは思えませんものね・・・。
が、それに加えた彼女のもう一つの事件が・・・。
オソロシイ・・・・。



粉砂糖の舞う中での甘いキスのシーン。
こんなにも幸せな恋人たちが、
結婚して数年でこんなふうになってしまうなんて・・・。
なんて皮肉なのでしょう。
いやはや、でも結婚生活がすべてこんな訳ではありませんから、
若い方々、決して悲観しませんように。
本作は、あまりにもニックが気の毒な立場なので、
有能な弁護士と、決して裏切らない双子の妹、
そして冷静な女警官まで味方につけていましたね。
だけれどもそれでも太刀打ち出来ないって、スゴイ・・・。
何度も言うけどホントに怖い、ロザムンド・パイク。
ただただ戦慄してしまう一作。
それにしても、本作、まさしく現代の風潮を表していますが
善悪を決めるのは裁判ではなくて
メディアの評判。
メディアを味方につけたほうが勝ち。
何かおかしいけれど、最近は確かにこんなふうです。



「ゴーン・ガール」
2014年/アメリカ/148分
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キム・ディケンズ

戦慄度★★★★★
予想外の展開度★★★★☆
満足度★★★★★