映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

マイ・インターン

2015年10月19日 | 映画(ま行)
バリバリのキャリアウーマンだって、誰かに守られたい



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ファッション通販会社の若き女性オーナー、ジュールズ(アン・ハサウェイ)は
現在急上昇中の仕事で大忙し。
この会社は彼女が1から立ち上げ、
また、彼女の仕事を援助するために、
夫は仕事を辞めて家事と育児に専念しているのです。
仕事も家庭も順風満帆。
実にカッコイイ!!

そんな時に、シニア・インターンとして入ったベン(ロバート・デ・ニーロ)が
彼女の手伝いをすることに。
シニア・インターンというのは会社の社会福祉対策で、
老人の採用枠を設けたということなんですね。



さて、いかにも仕事も家庭もうまく行っていたはずのジュールズ。
しかし、あまりの多忙さで、それもなかなかうまく行かなくなってきます。
新たにCEOを参入すべきだという声。
そして、夫は育メン生活に疲れたようでもあり・・・。
そんな時に、経験豊富なベンの助言が光る!!



いや、とにかくベン、というかロバート・デ・ニーロが素敵すぎ!!
彼は、電話帳をつくっていた会社に務めていたことになっています。
今はなき(いや、なくはないけど)前時代の遺物の象徴みたいな、電話帳の。
でもそこで身につけた組織として働くスキルとでもいうのでしょうか、
それが実に役に立つ。
今の彼の立場は、出世も給料の額もさして問題ないわけです。
だからすごく自由。
しかし、自由だからダラダラ過ごす人だってもちろんいますよね。
と言うか、大抵はそうなのでは? 
しかしベンは、始めから退屈な引退生活に見切りをつけて、
新たなやりがいを見出すために来たわけだから、
とにかく何かがしたいのです。
だから、なんだってする。
そうするうちに、職場では次第に頼りになる人物になっていく。
もしかしたら、これは姥捨て山伝説? 
不要とされ社会から遠ざけられた人物が、後にその知恵で人々を救うという・・。
まあ、そこまで言っては言い過ぎだけれど、
老人を社会の仕組みの外におこうとするのは
必ずしも得策ではないということか。
しかし現実には再任用制度というのもあるけど、
ベンみたいな人ってまずいないよ~。



それにしても、ベンの最も凄いところは、
ジュールズを女だからと軽く見たりせず、
上司として敬愛し、しっかり守ろうとするところですね。
ナイトなんだなあ・・・。
作中でジュールズが言っていました。
今は女性はみな強いけれど、男性はいくつになっても子どもみたいだ、と。
肉食女子に草食男子という風潮は、日本もアメリカも一緒なのか。
しかしそうではあっても、
実は女は抱擁力があって、しっかりと守ってくれる男性に憧れるものなのです。
だから、ロバート・デ・ニーロ。
いいんだなあ・・・。



現代のキャリア・ウーマンのあこがれを実にうまく突いた作品であります。

「マイ・インターン」
2015年/アメリカ/121分
監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ
出演:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、アダム・ディバイン、アンダース・ホーム

現代性★★★★☆
満足度★★★★★