映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

エヴェレスト 神々の山嶺

2016年04月03日 | 映画(あ行)
エヴェレストに役者根性を見た!



* * * * * * * * * *

夢枕獏の原作を読んだのは随分前だったと思います。
やはり、自分が登山をするわけではないけれど、山の物語は好き。
一ヶ月以上のネパールロケ、標高5200メートルで撮影とのことで、
期待も高まります。



ネパールの首都カトマンズ。
山岳カメラマンの深町(岡田准一)は、古道具屋であるカメラに目を引かれます。
それは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーが1942年6月
エヴェレスト登頂に挑んだ時に使われたカメラと同型のもの。
彼は下山することなく行方不明となったため、
登頂に成功したのか否か、未だに謎のままとなっているのです。
もしこのカメラがジョージ・マロリーのもので、彼がエヴェレスト山頂に立ったのなら、
カメラのフィルムにその映像があるはず・・・! 
にわかに興味を掻き立てられた深町でしたが、ちょうどそこへ、
これは自分のところから盗まれたカメラなので、返してほしいという人物が現れます。
その男の連れが、かつて天才クライマーと呼ばれながら、
行方不明となっていた羽生丈二(阿部寛)。
羽生が再度エヴェレスト登頂を目指していることを直感した深町は、
その姿をカメラに収めるため、羽生に接近します。
それはまた、ジョージ・マロリーのフィルムの謎の興味でもあったのですが。



羽生の人間性が、本作のメインですね。
彼はかつて登山に同行した相方を死なせてしまっているのですが、
自分が助かるために見捨てたというウワサが流れているのです。
そのことについての弁解もせず、
ひたすら孤独に山を目指す羽生の生き方にのめり込んでいく深町。



ここでは、岡田准一さんは好青年ではなくて、
ちょっと強引でやさぐれた感じのカメラマン。
なるほどー、なんだかぐんと演技の幅が広まった感じで悪くはありません。
そしてまた、その岡田准一さんを背負って崖を登ってみせた
阿部寛さんにはとにかく拍手!!
・・・いやはや、役者さんも楽ではありませんね。
そしてまた、日本の山を舞台にしたストーリーの吹雪のシーンなどは
時々、え?これだけ?と思ってしまうことがあります。
北海道人としては、まあ最近は少なくなりましたが、
平地でも死にそうな吹雪に遭遇することもあるもので。
ところが今作の吹雪のシーンは、さすがエヴェレスト、
ホンモノは違う!! 
こりゃたまらん・・・と見ているだけでも思いました。
実際、大変なロケだったらしいことがよくわかりました。


映画作品でそういう感想を抱かせてしまうのは、
実はダメなのだろうとは思いつつ・・・。
だって、フィクションなのに現実を思い出してしまっているということですもんね。
というわけで、ストーリー自体より、
キャストやスタッフの皆様に敬意を表したくなってしまったという作品でした。
そういうことが気になってしまったので、本で読んだ時のほうが感動したような・・・。



「エヴェレスト 神々の山嶺」
2016年/日本/122分
監督:平山秀幸
原作:夢枕獏
出演:岡田准一、阿部寛、尾野真千子、ピエール瀧

極限の地・酷寒度★★★★★
根性度★★★★☆
満足度★★★☆☆