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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

レヴェナント 蘇りし者

2016年04月27日 | 映画(ら行)
ただただ、圧倒されっぱなし



* * * * * * * * * *

レオナルド・ディカプリオがついに念願のアカデミー賞主演男優賞をものにした作品。
ずい分前から劇場でも予告編が入っていて、
これは見なければ!!という気にさせられていました。



1800年代アメリカ北東部。
狩猟中熊に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまったヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)。
このチームのメンバー、フィッツジェラルド(トム・ハーディ)は、
彼を足手まといだとして置き去りにし、反抗したグラスの息子も殺してしまいます。
目の前で息子を殺され、自らも生き埋めにされたグラスは、
しかし奇跡的に命をとりとめ、
フィッツジェラルドへの復讐を胸に誓い、這うようにして前進を始めます。
酷寒の果てしなく広がる荒野。
彼らとは敵対する原住民の部族が付け狙う。
満身創痍の彼がこの信じがたい過酷な状況を生き抜いていく・・・。



私は本作を見ている間中ずっと、しかめっ面をしていたと思います。
熊に襲われるシーンなんかもう、コワイコワイ・・・。
熊も怖いけれどこの寒さも怖いですよ。
屋外の自然光のみで行われたというロケは9ヶ月に及び、
実際命がけだったというのですが、
それはもう、この終始寒々しい映像で納得できてしまいます。
雪の降り積もる中、水に浸かるだなんてもう、シンジラレナイ!!
馬に乗ったまま崖から落ちるシーンは予告編で何度も見ましたが、
その後で、あんなシーンがあるだなんて!! 
想像もつきませんでした。
とにかくこの、これでもか、これでもか、というふうに襲いかかる苦難、
そしてその都度立ち向かい生き残るその生命力に圧倒されっぱなし・・・。
「実話を元にしている」と聞かなければ、
単にご都合主義のストーリーかと思ってしまいそうです。



グラスはアメリカ原住民を妻にもち、息子は混血なのです。
その妻を白人に殺されたりもして、彼自身の思考はかなり原住民に近いものだったのですね。
自然の厳しさを知り、また、それをやり過ごす知恵もあったりする。
けれどやっぱり一番重要なのは「絶対に生き抜く」という強い意志。
私はこういうのを見るといつも思ってしまうのですが、私なら絶対ムリ・・・。
いや、他のどんな人にでもムリですよね。



絶望的に寒くて広大で荒々しい大地。
人の世の争いごとも苦しみも悲しみも、何も関係なくそれはそこに、ただある。
これこそが本作の本当のテーマなのかもしれません。


 
「レヴェナント 蘇りし者」

2015年/アメリカ/157分
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラック

寒さ★★★★★
残酷さ★★★★★
満足度★★★★.5