車たちの日常
* * * * * * * * * *
のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!
パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?
車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、
仲良し家族の冒険譚!
愛すべきオフビート長編ミステリー。
* * * * * * * * * *
本作の語り手は、なんと車!
緑色のデミオ、通称「緑デミ」(ミドデミ)が、
彼の持ち主の家族の、身の回りに起きた出来事を語ります。
車のことはな~んにも分からない私は、
デミオと言われても全然ピンと来ないのですが、
まあ本作を楽しむのにそういう知識は特に必要なかったようです。
しかし、犬とか猫ならまだわかりますが、語り手が車とは!
まあ、なくはないですけどね。
きかんしゃトーマスとか、消防自動車じぷたとか・・・。
あ、「カーズ」のアニメもあったか。
みな子供向けですが・・・。
基本、緑デミは車の中や周辺のできごとしか見聞きできないわけですが、
でも車同士のおしゃべりなどで情報交流し、
かなり多くのことを知ることができます。
特に隣家の「ザッパ」はなかなか鋭い推理を展開してくれる力強い友人。
こんなのどかな設定でありながら、一応ミステリで、事件が起きます。
仙台在住の元女優が浮気相手と同乗した車が、
しつこい週刊誌記者に追われてトンネルの中で事故を起こし炎上。
二人は事故死してしまいます。
実はその事故の少し前、ほんの偶然ですがその女優・荒木翠がこの緑デミに乗車していたのです。
フランスで事故死したダイアナ妃をなぞらえたようなこの事件。
緑デミの持ち主である望月家の長男・良夫と次男・亨は
そんな女優・荒木翠の死がショックで、
事件の謎を考えるようになります。
兄良夫は大学生で割と普通のいい兄ちゃん。
弟の亨は小学生なのですが、非常に頭が良くて、
そこらの大人よりもよほど大人びている。
逆に言えば可愛げがない。
…けれどもこういう子、私は大好き。
常に冷静・論理的ではありますが、やっぱり正義漢。
プラモデルを作るのが好きな小学生らしいところもちゃんとあります。
この2人の間には高校生のまどかがいるのですが、
ちょうど反抗期のお年ごろで、素っ気ない。
けれども彼女が付き合っている彼氏が大変なことに巻き込まれてしまい、
巻き添えを食って、望月家の人たちも危うい状況に・・・。
なんとも楽しめた一冊でした。
クルマたちは、基本的には自分たちの「持ち主」が大好きです。
もちろん緑デミも望月家の皆が好き。
けれどいつか車を買い換えたり廃車にしたり、
別れの日もしくは命の終わりの日、そういう日がいつか来ることも予感している。
それは止めようがない運命というもの・・・。
なんだか切ない。
しかし最終章「エピローグ」で、思いがけず、幸せな展開を私たちは読むことができます。
思わず顔がほころんでしまう。
それから文庫版だけの特別付録!!
カバー裏に特別書き下ろしのスペシャル掌編があるんですよ。
これも楽しい。
たっぷり楽しめること請け合いのお得な本、オススメです。
「ガソリン生活」伊坂幸太郎 朝日文庫
満足度★★★★★
ガソリン生活 (朝日文庫) | |
伊坂幸太郎 | |
朝日新聞出版 |
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のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!
パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?
車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、
仲良し家族の冒険譚!
愛すべきオフビート長編ミステリー。
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本作の語り手は、なんと車!
緑色のデミオ、通称「緑デミ」(ミドデミ)が、
彼の持ち主の家族の、身の回りに起きた出来事を語ります。
車のことはな~んにも分からない私は、
デミオと言われても全然ピンと来ないのですが、
まあ本作を楽しむのにそういう知識は特に必要なかったようです。
しかし、犬とか猫ならまだわかりますが、語り手が車とは!
まあ、なくはないですけどね。
きかんしゃトーマスとか、消防自動車じぷたとか・・・。
あ、「カーズ」のアニメもあったか。
みな子供向けですが・・・。
基本、緑デミは車の中や周辺のできごとしか見聞きできないわけですが、
でも車同士のおしゃべりなどで情報交流し、
かなり多くのことを知ることができます。
特に隣家の「ザッパ」はなかなか鋭い推理を展開してくれる力強い友人。
こんなのどかな設定でありながら、一応ミステリで、事件が起きます。
仙台在住の元女優が浮気相手と同乗した車が、
しつこい週刊誌記者に追われてトンネルの中で事故を起こし炎上。
二人は事故死してしまいます。
実はその事故の少し前、ほんの偶然ですがその女優・荒木翠がこの緑デミに乗車していたのです。
フランスで事故死したダイアナ妃をなぞらえたようなこの事件。
緑デミの持ち主である望月家の長男・良夫と次男・亨は
そんな女優・荒木翠の死がショックで、
事件の謎を考えるようになります。
兄良夫は大学生で割と普通のいい兄ちゃん。
弟の亨は小学生なのですが、非常に頭が良くて、
そこらの大人よりもよほど大人びている。
逆に言えば可愛げがない。
…けれどもこういう子、私は大好き。
常に冷静・論理的ではありますが、やっぱり正義漢。
プラモデルを作るのが好きな小学生らしいところもちゃんとあります。
この2人の間には高校生のまどかがいるのですが、
ちょうど反抗期のお年ごろで、素っ気ない。
けれども彼女が付き合っている彼氏が大変なことに巻き込まれてしまい、
巻き添えを食って、望月家の人たちも危うい状況に・・・。
なんとも楽しめた一冊でした。
クルマたちは、基本的には自分たちの「持ち主」が大好きです。
もちろん緑デミも望月家の皆が好き。
けれどいつか車を買い換えたり廃車にしたり、
別れの日もしくは命の終わりの日、そういう日がいつか来ることも予感している。
それは止めようがない運命というもの・・・。
なんだか切ない。
しかし最終章「エピローグ」で、思いがけず、幸せな展開を私たちは読むことができます。
思わず顔がほころんでしまう。
それから文庫版だけの特別付録!!
カバー裏に特別書き下ろしのスペシャル掌編があるんですよ。
これも楽しい。
たっぷり楽しめること請け合いのお得な本、オススメです。
「ガソリン生活」伊坂幸太郎 朝日文庫
満足度★★★★★