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「悪いうさぎ」若竹七海

2016年04月12日 | 本(ミステリ)
ボロボロになりながら、彼女が突き止めた戦慄の真相

悪いうさぎ (文春文庫)
若竹 七海
文藝春秋


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家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事を引き受けた私は、
彼女の周辺に姿を消した少女が複数いるのを知る。
少女たちは一体どこに消えたのか?
女探偵「葉村晶」シリーズの長篇。


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先日読んだ「さよならの手口」で
すっかり女探偵「葉村晶」ファンになった私は、こちらも読んでみました。
順序は逆になってしまいましたが。


家出をした女子高校生ミチルの捜索から始まった事件。
彼女の行方はまもなく探しだすことができて、無事に連れ戻すのですが、
その彼女の周辺で他にも姿を消してしまった少女が複数いることがわかります。
その行方を探すうちに数々の悲惨な体験をし、
ボロボロになりながら彼女が突き止めた戦慄の真相とは!!


いやはや驚いた。
「さよならの手口」では何度となく怪我をし、
入院の羽目になり、ボロボロになっていた葉村晶ですが、
それはもう彼女の宿命であったわけですね。
本作でも、脇腹を刺され、足の骨にヒビが入ったとこなどほんの序の口。
満身創痍の上にまた数々の命の危機に晒されます。
ピストルの撃ち合いなどは出てきませんが、
これはもうハードボイルドの域。
つまり、そこがこのシリーズの魅力なのでした。


最後の最後にある絶体絶命の危機がもう、本当に圧巻。
しかしまた、ちょっぴりユーモラスであったりするのがまたいいのです。
こんな事件の合間にまた、彼女は親友が結婚詐欺にあっていることに気づいたりします。
なんてめまぐるしい日々。
そんな中で一人癒し系なのが、いつも晶のことを気にかけてくれる、光浦。
オネエ系なので、残念ながら恋愛には発展しません。
和製ウォーショースキーに例えれば、ミスタ・コントレイラスみたいな存在でしょうか。
こんな人がいるから、まだ頑張れちゃうんですね。
ぜひ続編・・というか、続々編が読みたい!!

「悪いうさぎ」若竹七海 文春文庫
満足度★★★★☆