自分がユダヤ人であることは忘れるな!
* * * * * * * * * *
ナチスドイツ占領下のポーランド。
この背景にどれだけの多くのドラマが繰り広げられてきたことか。
そんな中、また一つ、胸に迫る本作です。
ポーランドのユダヤ人強制居住区から脱走した8歳の少年スルリック。
始めは彼と同様身寄りの無い子供たちと生活を始めたのですが、
ドイツ兵に追われ、別れ別れになり、たった一人で森で生きることになります。
森での生活の術は仲間たちが教えてくれた。
しかし、冬の寒さで凍死寸前のところをヤンチェック夫人に救われます。
夫人は彼に、ポーランド人孤児として生きるすべを教えます。
ポーランド人ユレクの名前で、キリスト教のしきたりを覚え・・・。
やがてユレクは、農村の家を回り、働きながら食料や寝床を得て、暮らすようになります。
しかし、ユダヤ人であることを知られてしまったり、
ドイツ兵に追われたり、どこにも長くは居られません。
そんな中で、また一つ彼に過酷な運命が・・・。
どこまでも過酷で理不尽な彼の運命。
けれども彼は別れ際の父の言葉を思い出すのです。
「絶対に生き抜け!」
この刺すように強い眼差し、胸を打ちますねえ・・・。
ところで、このスルリック&ユレクの役はなんと、
双子の少年たちが入れ替わりながら務めていたのですって!!
へえ~。
ちっとも気が付きませんでした。
なんとも将来が楽しみなステキなルックス・・・。
さてスルリックの父親はまた、こんなことも言っていたのです。
「父さん母さんのことは忘れてもいい。
だが、自分がユダヤ人であることだけは忘れるな。」
少年は実のところ、自分がユダヤ人であるためにこのようなひどい目にあっているので、
そこのところは多分あまり納得が行かなかったのではないかと思います。
ポーランド人として、喜々としてキリスト教の堅信礼を受けたりもした。
だけれども、本作の最後で彼は父の言葉を理解するのですね。
ユダヤ人であること。
それはやはり彼のアイデンティティのみなもとなのだということを。
それにしても、どこの世界にも心ある人もいればまた、そうでない人もいる。
この凝縮された2時間足らずの中に、まさに“世界”がありました。
あるドイツ人将校は、ちょっと自堕落で、
スルリックを追いもするのですがまた、鷹揚な面も覗かせる。
また、ある医師はユダヤ人の手術はしない、などとのたまう。
迷えるユダヤ人の子供をドイツ軍に売り渡す夫婦もいれば、
そっと労り、かくまってくれる人もいる。
キレイ事だけではなく、また残酷すぎることもない。
そういうバランスも素晴らしいと思います。
「ふたつの名前を持つ少年」
2013年/ドイツ・フランス/107分
監督:ペペ・ダンカート
原作・ウーリー・オルレブ
出演:アンジェイ・トカチ、カミル・トカチ、ジャネット・ハイン、ライナー・ボック
歴史発掘度★★★★☆
過酷な運命度★★★★★
満足度★★★★★
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ナチスドイツ占領下のポーランド。
この背景にどれだけの多くのドラマが繰り広げられてきたことか。
そんな中、また一つ、胸に迫る本作です。
ポーランドのユダヤ人強制居住区から脱走した8歳の少年スルリック。
始めは彼と同様身寄りの無い子供たちと生活を始めたのですが、
ドイツ兵に追われ、別れ別れになり、たった一人で森で生きることになります。
森での生活の術は仲間たちが教えてくれた。
しかし、冬の寒さで凍死寸前のところをヤンチェック夫人に救われます。
夫人は彼に、ポーランド人孤児として生きるすべを教えます。
ポーランド人ユレクの名前で、キリスト教のしきたりを覚え・・・。
やがてユレクは、農村の家を回り、働きながら食料や寝床を得て、暮らすようになります。
しかし、ユダヤ人であることを知られてしまったり、
ドイツ兵に追われたり、どこにも長くは居られません。
そんな中で、また一つ彼に過酷な運命が・・・。
どこまでも過酷で理不尽な彼の運命。
けれども彼は別れ際の父の言葉を思い出すのです。
「絶対に生き抜け!」
この刺すように強い眼差し、胸を打ちますねえ・・・。
ところで、このスルリック&ユレクの役はなんと、
双子の少年たちが入れ替わりながら務めていたのですって!!
へえ~。
ちっとも気が付きませんでした。
なんとも将来が楽しみなステキなルックス・・・。
さてスルリックの父親はまた、こんなことも言っていたのです。
「父さん母さんのことは忘れてもいい。
だが、自分がユダヤ人であることだけは忘れるな。」
少年は実のところ、自分がユダヤ人であるためにこのようなひどい目にあっているので、
そこのところは多分あまり納得が行かなかったのではないかと思います。
ポーランド人として、喜々としてキリスト教の堅信礼を受けたりもした。
だけれども、本作の最後で彼は父の言葉を理解するのですね。
ユダヤ人であること。
それはやはり彼のアイデンティティのみなもとなのだということを。
それにしても、どこの世界にも心ある人もいればまた、そうでない人もいる。
この凝縮された2時間足らずの中に、まさに“世界”がありました。
あるドイツ人将校は、ちょっと自堕落で、
スルリックを追いもするのですがまた、鷹揚な面も覗かせる。
また、ある医師はユダヤ人の手術はしない、などとのたまう。
迷えるユダヤ人の子供をドイツ軍に売り渡す夫婦もいれば、
そっと労り、かくまってくれる人もいる。
キレイ事だけではなく、また残酷すぎることもない。
そういうバランスも素晴らしいと思います。
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「ふたつの名前を持つ少年」
2013年/ドイツ・フランス/107分
監督:ペペ・ダンカート
原作・ウーリー・オルレブ
出演:アンジェイ・トカチ、カミル・トカチ、ジャネット・ハイン、ライナー・ボック
歴史発掘度★★★★☆
過酷な運命度★★★★★
満足度★★★★★