映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

クーパー家の晩餐会

2016年04月11日 | 映画(か行)
それぞれが幸福を演じて・・・



* * * * * * * * * *

40年もの結婚生活の末、夫サム(ジョン・グッドマン)と
離婚を決めたシャーロット(ダイアン・キートン)。
でも最後のクリスマス、一家がみな集まって思い出に残る完璧な晩餐会にしようと、
シャーロットは準備を進めています。
家族には離婚するという話は内緒のままで。
でも、集まった家族たちもそれぞれ、皆には言えない秘密を抱えています。


失業したことを言い出せない息子。

不倫を隠すために、出会ったばかりの男を恋人に仕立てて同伴する娘。


クリスマスプレゼントを万引きして逮捕されたシャーロットの妹。


皆、心に屈託を抱えながら、せめてクリスマスの夜には幸福を演じよう、と思っている。
だから、なんだか皆ギクシャク。
しかし! 最後に大きなアクシデントが!! 
クーパー家はこのまま空中分裂となるのか???


皆がストレスを感じながらもしぶしぶこの晩餐会にやってくるのは、
つまりシャーロットに気を使っているのです。
シャーロットは良き妻、良き母、良き姉ではありますが、
できすぎていると言うか、すべてが完璧でなければ気がすまない。
特に子どもの一人を幼いうちに失くしているということで、
余計に家族たちを気遣い、幸福になってほしいと願う。
でもそれが当人たちには重荷なのです。
そのように子供たちの動向を気にするあまり、夫には興味を示さない。
結局はそれが離婚しようとする原因なのでした。


だからこれはそれぞれの家族の物語ではありながら
やはり、シャーロットの物語なのでしょう。
でも、本作を見る限り、とても良いダンナだし、
離婚しようとする切実味があまり感じられないのです。
二人の若き出会いの頃、それは学生運動華やかな時代。
やはり私などと年代が近いので、非常に親しみを感じてしまう。
40年を共に生きてきた同朋。
何を今さら別れる必要などあるでしょう。
一緒にアフリカに行けばいいじゃん!! 
私は切にそう思いました。



好きだったのは、祖父バッキー(アラン・アーキン)と
ウエイトレスをしているルビー(アマンダ・セイフライド)の二人。
これは愛なのか。
いや信頼で結ばれた友情と言うべきかな。
妙ななまめかしさがないのがとても良い。
そして、この家の人々の騒動を心痛めながら見守っている愛犬ラグスがなんといっても一番。
でもね、やたら人の食べ物を食べてはダメですよ。
体に良くない。
そこがつい気になってしまいました。
マッシュポテトをわさわさ食べちゃってるシーンには思わず笑ってしまいましたが。
この犬の愛嬌に救われましたね・・・。

「クーパー家の晩餐会」
2015年/アメリカ/107分
監督:ジェシー・ネルソン
出演:ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、アマンダ・セイフライド、オリビア・ワイルド、アラン・アーキン、マリサ・トメイ

隠し事度★★★★☆
ワンちゃんに救われた度★★★★★
満足度★★★.5