映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

虹の女神 Rainbow Song

2019年02月27日 | 映画(な行)

本当の気持を知ったときは、すでに遅く・・・

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大学時代、自主制作映画を撮っていた智也(市原隼人)とあおい(上野樹里)。
どうにも将来を思い描くことができない智也は、卒業後バイトを転々としていましたが、
あおいの誘いによって彼女と同じ映像制作会社に入社。
入れ替わりに彼女は退職し、渡米するのですが、
そこで飛行機事故に会い、亡くなってしまうのです・・・。

重大なネタバラシのようではありますが、あおいの死は冒頭から明かされるので・・・。
ストーリーはそこから時間をさかのぼり、
智也とあおいの出会いのシーンから語られていきます。


いつも二人でつるんでいて、気楽に話ができる“友人”だった二人。
智也はあおいに恋の相談をしたりもします。
サバサバとして、思ったことはためらわずに実行する、
智也からみても「強い」と思うあおい。
しかしそんな彼女の本当の「思い」は、とてつもなく乙女・・・。
でもそれを智也が知ったのはもうどうにもならない時。
なーんて切ないのでしょ。
さすがに泣きました・・・。



「結婚しよう。」という言葉は、時を間違えば残酷でもあるわけですね。
本人が本気でなく投げやりのような気持ちでこれを言うようなときに・・・。
「半分青い」の律くんが小さな駅で思わずそれを言ったときも、そんな感じでしたよね。
だからスズメがその場で断ったのはやはり必然だったと思う次第・・・。


さてこれは、岩井俊二さんプロデュース作品でしたか。
なるほど。
トーンが抑えられて淡々と進められるストーリー。
けれど、実は心の波が渦巻いている感じ、好きです。
ちなみに彼らが学生時代に作っていた短編作が、ラスト付近で流されるのですが、
これがまた最後の一言に“逆転”のあるユニークな作品。
そしてこれがまた、あおいの運命を予言するようでもあり、切ないのです。
たった一度の口づけのシーンもあり、泣かされますねえ・・・。

全然知らなかったのですが、思わず拾い物をしたような一作でした!

虹の女神 Rainbow Song [DVD]
桜井亜美,齊藤美如
アミューズソフトエンタテインメント

<WOWOW視聴にて>
「虹の女神 Rainbow Song」
2006年/日本/117分
監督:熊澤尚人
プロデュース:岩井俊二
原案・脚本:桜井亜美
出演:市原隼人、上野樹里、蒼井優、酒井若菜

ラブストーリー度★★★★★
切なさ★★★★★
満足度★★★★.5