映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

天外者

2021年03月14日 | 映画(た行)

大きな夢が実現できる時代

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この題名は「てんがらもん」と読んでくださいませ。
天外者とは、凄まじい才能の持ち主という意味で、
近代日本経済の基礎を構築した五代友厚を描きます。

江戸末期。
遊女はる(森川葵)との出会いから
「自由な夢を見たい」との思いに駆られた五代(三浦春馬)は、
男女、貧富、身分などの違いにかかわらず、
誰もが夢を見ることができる国を造りたい、と思います。
長崎で坂本龍馬(三浦翔平)、岩崎弥太郎(西川貴教)、伊藤博文(森永悠希)と語らい、
志を共にします。

大きな転換期のこの時代、若い人々が見る夢は大きく、そして実現性も大きい。
だからこの時代の物語は、私たちを引きつけてやまないのですよね。

坂本龍馬と未来を語る五代のシーンは、
本当はそんなことはなかっただろうとは思いながらも、
ジーンと来てしまいます。

五代は遠い異国イギリスに憧れていて、
攘夷論華やかなこの頃には、変人で嫌われ者。
命すら狙われるくらいです。
けれど俯瞰的にこの国を見据えて、経済こそが国を育てると思う。
現代の日本につながっていくまことに重要な人物であります。

本作に渋沢栄一は登場しなかったのですが、
その考え方は同一のものなのか、または、別物なのか、興味があります。
大河ドラマ「青空を衝け」には、五代友厚(ディーン・フジオカ!)も登場するようなので、楽しみです。

本作のラストは五代の通夜。
これが三浦春馬さんの死とも重なって、なんとも切なくもの悲しいシーンでありました・・・。

サツゲキにて  ←本作、ロングランで頑張ってくれています!

「天外者」

2020年/日本/109分

監督:田中光敏

脚本:小松江里子

出演:三浦春馬、西川貴教、三浦翔平、森永悠希、森川葵、蓮佛美沙子

 

歴史再認識度★★★★☆

満足度★★★★☆