神の意志?
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実話をもとにした物語です。
ミズーリ州14歳の少年ジャン。
友人と凍った池の上で遊んでいる最中、氷に穴が空き、落ちてしまいます。
15分経過の後、ようやく水中から引揚げられ、
病院に運ばれて蘇生措置を受けるも息を吹き返しません。
しかしその時、母親の神への祈りが届いたのか、
ジャンは微弱ながらも脈を打ち始めたのです。
しかしそこから先もまた大変。
体に酸素が行き渡らなかった時間が長かったので、
医師はジョンが健康な状態に回復する確率はかなり低いと告げます。
依然として昏睡状態のジョンを前に、祈るしかない母・・・。
この母親は、かなり熱心なキリスト教信者です。
ジャンは実は孤児院から引き取られた養子。
しかも反抗期ということで、母親には相当の反感を示していた昨今なのです。
そんな背景をしっかり描いた後の事故。
昼夜ジャンに付きそう母親は疲労で倒れてしまったりしますが、
共に支えてくれたのはいつも通っている教会の牧師。
(実は母は革新的な手法を使うこの牧師をちょっと嫌っていたのですが)
父親は、すっかり心が折れてしまい、怖くて息子に近寄れないのです・・・。
やはり、母は強し。
やがてこの話はSNSで広まり、
多くの人がジャンのために祈りを捧げることになります。
本作、だからといってキリスト教の素晴らしさをいうわけではないですね。
例えば、ジャンの教師は後にいう。
「私の夫は病で逝ってしまったけれど、何故、あなたは助かったのかしら」。
そうです、神に祈りを捧げる人は多いけれど、
その祈りがかなえられることはほとんどない。
そんな中だからこそ、医師も諦めていた命が蘇ることを私たちは「奇跡」と呼ぶ。
そこに神の意志がありや、なしや、
それこそが個人個人の考え方ということになるのでしょう。
単なる偶然。
単に少年の生命力が人並み外れて強かっただけ。
そうとも言えるわけですから。
ではありながらも、人はどうしてもそこに何らかの意味を見出してしまうものなんでしょうね。
つい私も心打たれて泣けてしまったのですが、
では何に心打たれたのか、というと自分でもよくわかりません。
人知を越えた煌めく何かがそこにありそうな気がする。
そんな奇跡がごくごくたまに起こることもあると信じたい。
<WOWOW視聴にて>
「ブレイクスルー 奇跡の生還」
2019年/アメリカ/116分
監督:ロクサン・ドースン
出演:クリッシー・メッツ、ジョシュ・ルーカス、トファー・グレイス、マイク・コルター
奇跡度★★★★★
満足度★★★.5