映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アムステルダム

2022年11月12日 | 映画(あ行)

ナチズムに狙われるアメリカ

* * * * * * * * * * * *

第一次世界大戦の激戦地で知り合い、終戦後アムステルダムで共に時を過ごし、
親友となったバート(クリスチャン・ベール)、ハロルド(ジョン・デビッド・ワシントン)、
ヴァレリー(マーゴット・ロビー)。
「何があってもお互いを守り合う」と誓い合います。

そして1933年、ニューヨーク。
バートとハロルドは、ひょんなことから殺人事件に巻き込まれ、容疑者にされてしまいます。
ぬれぎぬを着せられた彼らは、なんとか疑いを晴らそうとします。

そんな頃に、ヴァレリーと再会した2人。
そして、次第に自分たちが世界を揺るがす巨大な陰謀のただ中にいることに気づきます。
昔の誓いのもと、3人は協力し合って・・・。

その時代性こそが物語の主役。
ヨーロッパでは次第にドイツのナチズムが膨張してきています。
そんな思想が、このアメリカの地でも勢力を広げようとしていた
・・・というのが、実話を元にしているというところが
なんとも、寒気のするような・・・。

けれど本作は、そういう危うく重苦しい話を、
ブラックなユーモアを効かせて、
ノスタルジックを身にまとい現代的センスを光らせるという、アクロバットを見せつけます。
とにかく面白い。

この3人、男2人に女1人が意気投合し親友同士に。
その場では三角関係などかけらも見せないというのが、すごくイイ。
もっとも、その時すでにバートは妻帯者ではあったのですが。

20年近い後の再会でようやくハロルドとマーゴットが恋仲に。
しかしその時はまだ、白人と黒人の結婚は認められていなかったようです。
こんなユニークな人間関係というか男女関係が、なにやら嬉しく感じられます。
いつまでも既成概念にしがみついていてはいけません。

本作で戦争の英雄・ディレンベック将軍として登場するのは、ロバート・デニーロ。
彼は自分の身の危険も顧みず、ファシストの脅しをはねのけて
アメリカの誇りたるべく演説を繰り広げます。
やってくれます。
これぞアメリカって感じですよね。

 

<シネマフロンティアにて>

「アムステルダム」

2022年/アメリカ/134分

監督:デビッド・O・ラッセル

出演:クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントン、
   クリス・ロック、ゾーイ・サルダナ、テイラー・スウィフト、ラミ・マレック、ロバート・デニーロ

 

歴史発掘度★★★★☆

ユニークな人物関係度★★★★☆

満足度★★★★★