映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スモーク

2012年02月19日 | 映画(さ行)
煙の向こうに人生が見える・・・

                        * * * * * * * * * *

ニューヨーク、ブルックリンのタバコ屋を中心とした人々の群像劇です。
店長オーギーは14年間、毎朝同じ時刻に店の前で写真を撮り続けています。
店のなじみ客、作家のポールはその写真を見て、
どれも同じだろうというのですが、
オーギーは一つ一つじっくり見るようにといいます。
季節や天気、出勤する人々の様子・・・、どれ一つ同じものはない、と。
そんな中で、ポールは数年前亡くなった妻の顔を見つけるのです。
出勤時、活力に満ちた妻の表情。
涙がこみ上げてきてしまうポール。


また、このポールが危うく交通事故に遭うところを黒人青年に助けられ、
この青年との交流が始まります。


そしてまた、オーギーの所に18年前別れたルビーが突然あることを相談に訪れ・・・。


一つ一つのエピソードがどれも美しくウィットに富んでおり、
非常に味わいの深い作品となっています。



題名の「スモーク」はむろんタバコの煙。
今時ですが、タバコ屋が中心となるので仕方ありません。
冒頭ポールが語る一つのエピソードがステキなんですよ。
タバコの煙の重さを量る方法。
言われてみればなるほど、納得なのですが、
こんな風に取るに足らないものでも、実はきちんと重さを計ることができる。
取るに足らない、いわばその他大勢の日常の中にもちゃんと意味がある。
そんなことを言いたかったのかもしれません。
なんだかじんわりと心が温かくなる作品です。
全員スパスパタバコを吸いまくりなのにはちょっと閉口しますが。
映画だから実害はありません!

SMOKE [DVD]
ポール・オースター
ポニーキャニオン


1995年/日本・アメリカ/113分
監督:ウェイン・ワン
原作・脚本:ポール・オースター
出演:ハーベイ・カイテル、ウィリアム・ハート、ストッカード・チャニング、フォレスト・ウィテカー、アシュレイ・ジャッド


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2 コメント

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紫煙 (パール)
2012-02-21 21:12:04
一つ一つのエピソードが心に残る作品でした。

煙草の煙は苦手ですが、煙草の似合う人はやはりカッコいいと思います。大人をイメージさせるからでしょうか?

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シチュエーション (たんぽぽ)
2012-02-22 20:40:04
>パールさま
そうですね、タバコを吸うシーンがすごく素敵なことはありますね。でも、時には単にイライラした場面とか、見え見えの小道具でタバコが使われていることもあったり、いろいろだと思います。
最近はドラマの中でも、やたらにタバコを吸いまくるシーンが少ないような気もします。今時、禁煙もできない人は自己管理ができない人、なんてイメージもありますし・・・。
実はせっせと税金を払ってくれている人でもあるのですけどね。
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