映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

MUD

2014年09月12日 | 映画(ま行)
少年のひと夏の冒険



* * * * * * * * * *

“少年のひと夏の冒険”という向きから
「現代版スタンド・バイ・ミー」などとも言われているようですが、
実際、そういう雰囲気のある作品でした。



アメリカ南部。
アーカンソーの川岸に暮らす14歳の少年エリス(タイ・シェリダン)。
親友ネックボーン(ジェイコブ・ロフランド)と共に
川の中州の島でマッド(マシュー・マコノヒー)という男と出会います。
エリスとネックはこの男と次第に親しくなっていくのですが、
実は殺人を犯し警察や賞金稼ぎに追われているということがわかってきます。
しかし、それはマッドの愛するジュニパー(リース・ウィザースプーン)のため。
マッドはここで彼女を待っていたのです。
マッドの女を愛する気持ちにうたれ、
エリスたちはマッドの手助けをしようとしますが・・・。



14歳はまだまだ青春の入り口。
エリスはまだ愛を美しいものと単純に思っているのですが、
男女の気持ちはそう簡単なものではない。
一筋縄ではいかない愛の有り様を学んでいくわけです。
彼の両親は結婚生活の崩壊が目前。
年上の彼女には振られる。
ジュニパーはマッドを好きなようなのに、約束の場所には現れない・・・。
みずみずしい少年の視点で、大人たちの複雑さを見つめます。



それにしても関わった相手が悪い。
銃が絡んだ非常に危険な事態へと進展していきますし、
この辺り一帯は、毒蛇の生息地でもある・・・。
辛口のラブストーリーに加えてハラハラドキドキもあり、
目が話せません。
そうでありながら通俗的にならず、どこか爽やかな気配がある。
稀有な一作です。



美形で繊細な役どころタイ・シェリダンももちろんいいですが、
ワルガキっぽいジェイコブ・ロフランドのほうが私は好き。
・・・まあいずれにしても映画に登場する少年というのがもう、
大好きなんですワ。
・・・アブナイおばさんかな?



一方、少年たちを惹きつける胡散臭い男マッドのマシュー・マコノヒーもいいですね。
はっきりいって直情的なおバカ。
これこそ、子供のママオトナになってしまったのではないかと思われるのですが、
しかし、少年たちを守ろうとするところはさすがに一応オトナ。
いい役どころです。
本作の舞台、なんとなく「ペーパー・ボーイ」にも似ています。
南部の湿地帯で、ボートハウスがあったりする。
そうそう、そこにもマシュー・マコノヒーが登場していたのでした。


本作はこの題名で少し損をしているかも。
この題名だと「スタンド・バイ・ミー」的雰囲気を想像できないのではないかと・・・
意外に素敵な作品だったので、得した気分にはなれます。

MUD -マッド- [DVD]
マシュー・マコノヒー,リース・ウィザースプーン,タイ・シェリダン,サム・シェパード,マイケル・シャノン
東宝


「MUD」
2013年/アメリカ/130分
監督:ジェフ・ニコルズ
出演:マシュー・マコノヒー、タイ・シェリダン、ジェイコブ・ロフランド、リース・ウィザースプーン、サム・シェパード
みずみずしい少年の視点度★★★★★
満足度★★★★★


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは~☆ (kira)
2014-09-12 20:55:15
マッド==泥にまみれた川・・とも思えて、
そんな川沿いの街で交差する
一人のアウトローと少年たちの夏。
やりきれない閉塞感に満ちていながら、
救われるお話で、私もお気に入りの作品でした~
返信する
納得 (たんぽぽ)
2014-09-13 19:50:35
>kiraさま
「一夏の少年の冒険」みたいなのが、やっぱり私も好きなのです。
いい作品でしたよねー。
>マッド==泥にまみれた川
なるほど、そういう含みもあるわけなんですね。
ちょっと納得しました。
返信する

コメントを投稿