映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サヨナライツカ

2013年04月11日 | 西島秀俊
あの女は、会えば会うほどまた会いたくなる



            * * * * * * * * *

中山美穂の12年ぶりの映画出演。
しかも原作はご主人の辻仁成。
そして日本作品ではなく韓国作品、ということで結構異色作でした。
えーと、今作は原作を読んだんだよね。
そう、結構好きだったよ。
映画化され公開される少し前に読んで、ぜひ見たいとは思ったんだよね。
だけど、色々な映画評ではあまり芳しくなくて結局見ずじまいだった・・・。
今頃西島秀俊さん出演ということで、みることになるというのも予想外だけど。
ストーリーは、こちらを見てね・・・
→「サヨナライツカ」



それで、どうなんでしょう?
いや、もともと、「好青年」の豊が日本に婚約者がいながら、
バンコクで出会った謎の美女沓子と深い関係になっていく・・・
という設定は好きではなかったよ。
けど、映画はこの若い二人のシーンが非常にいい。
貪り合うように体を重ねる二人。
自由奔放な沓子に振り回される豊。
心の底には罪悪感を抱えつつ・・・。
異国だからこその開放感もあって、いい空気感がありますねえ・・・。





原作を読んだ時には、その部分より、実はその25年後の方が好きだったのだけれど・・・
なぜか映画では25年後、なんだか盛り上がらなかったなあ・・・
あれですか、フケメイクだから・・・
ちょっとわざとらしいよねえ・・・
西島秀俊さんは、この50代男性を演じるため体重を13キロも増量したそうなんですが、
結局その部分はカットされて使われなかったとかで。
ひゃー、苦労の割に報われない・・・。
ああ、違和感はそこにもあったかな。
好青年が出世した割にはなんだかちょっと貧相にもみえた・・・。
増量した西島さんもちょっと見てみたかったな・・・。
どういうわけか、妻光子だけが、異様に女ざかりで美しくなっていたりして・・・
ああ、そこだよね。
あの自由奔放、男の前では女王様みたいな沓子が、
光子の前では打ちひしがれて何も言えなかった・・・。
怖いシーンだったなあ・・・。
でもあそこではまだ婚約者でしょう。
だけどまあ、豊はとりあえず自分を嫌いではないし、
豊の思い描く出世には自分が絶対必要って、絶大な自信がある訳なんだなあ。



「あの女は会えば会うほど、また会いたくなる。
今も会いたくてたまらない、死にそうだ・・・」
そうつぶやく豊。
でも、自分の将来の方を大切にした・・・。
そのまま25年ね・・・。
そういう「思い」というのは、年月に関係ない気がするよ。
その凝縮した思いの現れというのが、
なんだか今作ではうまく表現しきれてなかったような気がして、ちょっと残念。
西島秀俊さん出演作品、ここのところずっとみてきたけど、
今作が一番面白くなかったなあ・・・。
そもそも、ストイックな役が多いでしょ。
しかもサラリーマンとかではなく。だからなんだか調子狂った。
でも、ひとつ言わせて。
はい、どうぞ。
沓子はつまり、“女の敵”のような存在だけどさ、私はそんな存在になってみたい。
男をまるで麻薬のように溺れさせる、そんな魔性の女に・・・。
うわ。よしなよ、全然キャラじゃないし~。
やっぱり・・・。あ、でもせめて30年前なら・・・
ムリムリ。


2009年/韓国/134分
監督:イ・ジェハン
原作:辻仁成
出演:中山美穂、西島秀俊、石田ゆり子、加藤雅也

異国情緒 ★★★★☆
西島秀俊の魅力度★★★☆☆
満足度★★★☆☆


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4 コメント

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辻仁成さん (RIN)
2013-04-12 09:57:24
集英社文庫 「函館物語」だけ読みました。
写真とエッセイ等でなかなか良い味の本でした。
これは取ってあります。(これはと思うものしか置いておきません、すぐBOOK・OFFに持って行きます、引っ越しばかり(30数回)でこんな風になりました、、、

他は読んでませんが、、、
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冷静と・・・ (たんぽぽ)
2013-04-12 23:06:28
>RINさま
辻仁成さんといえば、私は「冷静と情熱のあいだ」でしょうか。江國香織さんとの赤と青版。ステキでした~。そちらは映画も良かったんですよ。
本作は映画より本のほうがおススメです。
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こんばんは (Ihuru)
2013-04-13 01:46:19
凝縮された思いが表されていなかった、まさに、そのとおり!だと思います。
わたしも原作が好きで、舞台であるバンコクも大好きで、西島さんもミポリンも好き♪
昔のバンコクはよく再現されていたし、二人のラブシーンはステキだったけど、想いの深さは伝わってこず、、、後半はしらけてしまいました。
残念~
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やっぱり (たんぽぽ)
2013-04-13 19:29:25
>Ihuruさま
そう思われますか・・・。
残念な作品でした。
でも、西島さんのせいじゃないですよね!
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