映画と本の『たんぽぽ館』

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キャット・ピープル

2012年03月22日 | 映画(か行)
心の病か。真実か。

                * * * * * * * * * *

1942年作品。
ホラー映画の古典名作。
先日読んだ「蜘蛛女のキス」の本の中でそのストーリーが語られていたのに興味を持ち、見てみました。


造船会社に務めるオリヴァー。
ある日動物園の黒豹の檻の前で、美しい女性イレーナと知り合います。
やがて二人は心惹かれ合い結婚。
ところが、イレーナはオリヴァーにキスさえも許そうとしない。
イレーナはセルビア出身なのですが、
彼女の出身の村には恐ろしい伝説がありました。
かつて猫族という邪悪な人々が住んでいたその村。
猫族の女は人間と結ばれると豹に変身し、その相手を食い殺すという・・・。
彼女は自分がその猫族の末裔だと信じていたのです。
これは彼女の単なる思い込み、心の病なのか?
はたまた、恐ろしい真実なのか?
精神科医も登場するこの作品、最後の最後までイレーナの正体を明かしません。
豹の“気配”のみ匂わせて姿を映しださない。
そういう所でミステリアスな雰囲気を盛り上げるのに成功しています。


そしてまた、彼女を変身させるのは“情欲”なのか、それとも“嫉妬”なのか、
そんなところも微妙で興味深いですね。
というのも、オリヴァーの同僚であるアリスの存在。
夫とアリスの親しげな様子を見てから、明らかに彼女の様子が変貌するのです。
そうでなければ案外彼女は平凡な妻になれたのかも・・・。
しかし、オリヴァーの心がアリスの方に向いていってしまうのは当然ですよね・・・。
キスさえもできないのなら、なんのために結婚したのだか・・・。
不満に思わないわけがない。
そしてまたアリスはさっそうとしたキャリアウーマンですし・・・。


闇に潜む黒い影。
でもこれは、イレーナに限ったものではないのかも。
殿方、ご用心を。
どんな女性にも、心の奥底に黒豹を飼っているかもしれませんよ・・・。

キャット・ピープル [DVD]
アラン・オームズビー
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン


「キャット・ピープル」
1942年/アメリカ/73分
監督:ジャック・ターナー
出演:シモーヌ・シモン、ケント・スミス、トム・コンウェイ


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