反転の妙
* * * * * * * * * *
「カラスの親指」で道尾秀介さんにクラっと来た私は、
今作も引き続き読んでみましたが、またやられましたね。
騙されまいと思いつつ、著者のミスリードに、ついはまってしまいました。
ここには2組の家族というか、兄弟が登場します。
事故で母を失い、継父と3人で暮らしている添木田蓮と楓。
両親を亡くし、継母と暮らしている溝田辰也と圭介。
どちらも、期せずして血のつながらない人を父と呼び、母と呼ばなければならなくなったという境遇に加えて、
その義父母が疎ましくてたまらない。
特に、蓮は継父に対して殺意すら抱いているのですが・・・。
ついに実行されてしまう殺人。
継母が実母を殺したのではないかという疑惑・・・。
辰也の仄暗い意志はどこまで行くのか・・・。
ううむ、やっぱり陰湿になってきた・・・
このストーリーに救いなんかありえない・・・、
と、本当にそう思ったのですよ。
途中までは。
ところが・・・!!
写真のネガが一瞬にして反転するかのように、事実が逆転していく。
この勢いが素晴らしい。
けれど今作、完全なるハッピーエンドとまでは行かず、
ちょっぴり苦さが残るあたりもさすがで、
それでこそ、「竜神の雨」の題名にふさわしいのです。
この結末について、解説で橋本満輝氏は言っています。
「沖縄のハブの話」
「クレーン車が切断した電話線の話」
「荒川の下流に流れ着いた男性の遺体の話」
唐突なエピソードと思われるこれらは、本では語られない良い未来への布石なのではないかと。
私も指摘されるまでもなく、そんな気がしまして・・・。
死体が発見されたのはむしろ僥倖。
死因がはっきりすればあるいは・・・と思うのですが、どうなんでしょう?
何れにしても、私たちは自分で想像をふくらませるしかないんですけどね。
それにしても圭介君は、お兄ちゃんよりよほど大人でした!
「龍神の雨」 道尾秀介 新潮文庫
満足度★★★★☆
龍神の雨 (新潮文庫) | |
道尾 秀介 | |
新潮社 |
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「カラスの親指」で道尾秀介さんにクラっと来た私は、
今作も引き続き読んでみましたが、またやられましたね。
騙されまいと思いつつ、著者のミスリードに、ついはまってしまいました。
ここには2組の家族というか、兄弟が登場します。
事故で母を失い、継父と3人で暮らしている添木田蓮と楓。
両親を亡くし、継母と暮らしている溝田辰也と圭介。
どちらも、期せずして血のつながらない人を父と呼び、母と呼ばなければならなくなったという境遇に加えて、
その義父母が疎ましくてたまらない。
特に、蓮は継父に対して殺意すら抱いているのですが・・・。
ついに実行されてしまう殺人。
継母が実母を殺したのではないかという疑惑・・・。
辰也の仄暗い意志はどこまで行くのか・・・。
ううむ、やっぱり陰湿になってきた・・・
このストーリーに救いなんかありえない・・・、
と、本当にそう思ったのですよ。
途中までは。
ところが・・・!!
写真のネガが一瞬にして反転するかのように、事実が逆転していく。
この勢いが素晴らしい。
けれど今作、完全なるハッピーエンドとまでは行かず、
ちょっぴり苦さが残るあたりもさすがで、
それでこそ、「竜神の雨」の題名にふさわしいのです。
この結末について、解説で橋本満輝氏は言っています。
「沖縄のハブの話」
「クレーン車が切断した電話線の話」
「荒川の下流に流れ着いた男性の遺体の話」
唐突なエピソードと思われるこれらは、本では語られない良い未来への布石なのではないかと。
私も指摘されるまでもなく、そんな気がしまして・・・。
死体が発見されたのはむしろ僥倖。
死因がはっきりすればあるいは・・・と思うのですが、どうなんでしょう?
何れにしても、私たちは自分で想像をふくらませるしかないんですけどね。
それにしても圭介君は、お兄ちゃんよりよほど大人でした!
「龍神の雨」 道尾秀介 新潮文庫
満足度★★★★☆
またよろしくです♪