映画と本の『たんぽぽ館』

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アヴリルと奇妙な世界

2020年09月26日 | 映画(あ行)

産業革命が起こらなかった世界

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海外のアニメ作品が続きます。
WOWOWで特集を組んでいたもので。
どれもそれぞれの魅力たっぷり。
日本もうかうかしていられません!

本作は、フランス・ベルギー・カナダの共同作品。
1870年。
若き科学者ギュスターブがナポレオン3世から戦争用の秘密兵器「不死身の秘薬」の開発を命じられますが、
完成前に爆発事故でナポレオンとともに命を落としてしまいます。
そのため、戦争は回避され、その後の歴史が大きく変わることになるのです。

ナポレオン5世が支配する1941年のパリ。
なぜか優秀な科学者たちが次々と失踪してしまっているため、
産業革命は起こらず、蒸気機関が動力の中心です。
電気はありません。
そんなパリで暮らす孤独なアヴリルと飼い猫ダーウィンが、
消息を絶った科学者の両親と祖父ポップスを探すことになります。

 

産業革命が起こらなかった世界。
すべてアナログの機械の世界、というのがなんとも魅力的。
多分、宮崎駿氏などが大好きそうな・・・。
蒸気機関しかなくても、それなりの技術は進んでいます。
パリの街をケーブルカーが走り、空を飛行船が飛んでいたりします。

アヴリルは、先のギュスターブのひ孫に当たりますが、
この一族はそれ以来ずっと「不死身の秘薬」を研究し続けているのです。
しかし当初の目的とは違ってしまう薬ができてしまっていて、
それが災いを引き寄せる・・・。
そんな薬の一つで、猫のダーウィンは人の言葉を話すことができるようになっていたりもするのですが・・・。

優秀な科学者が皆失踪している・・・ということは、
多分どこかに集められて、そこで最先端の研究が行われているのでは・・・?
と想像はつくのですが。

電気も、もちろん原子力もない世界は、蒸気機関だけが頼り。
石炭はとうに枯渇し、まだ石油利用の技術は進まず、
木材を利用し始めたが故に、森林が失われてきている・・・。
森林資源を手に入れるために戦争が起こったりしている。
そして街は煤煙だらけ・・・。
なんとも悲惨な世界。
産業革命がなかったら、ただのどかで平和な世界なのかと思ったら、
そういう単純な話ではない、ということですね。

こういう世界のイマジネーション、面白いなあ・・・と、
ひたすら感じ入ってしまう作品なのでした。

そして、ほんのちょっぴりスリリングなラブストーリーでもあるのがしゃれています。

<WOWOW視聴にて>

「アヴリルと奇妙な世界」

2015年/フランス・ベルギー・カナダ/105分

監督:クリスチャン・デスマール、フランク・エキンジ

声:マリオン・コティヤール、フィリップ・カトリーヌ、ジャン・ロシュフォール、マルク=アンドレ・ブロンダン

 

異世界度★★★★★

満足度★★★★☆

 

 



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