映画と本の『たんぽぽ館』

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鍵泥棒のメソッド

2012年09月17日 | 映画(か行)
女性の胸が「キュン」とするとき



                * * * * * * * * * 


「運命じゃない人」、「アフタースクール」でお馴染みの内田けんじ監督作品です。


売れない役者、35歳、ボロアパート暮らしの桜井武史(堺雅人)。
彼は銭湯で、羽振りのよさそうな男(香川照之)が
滑って転んで意識を失った場に居合わせました。
そしてつい出来心で、その男と自分の荷物をすり替えてしまったのです。
滑って転んだ男・コンドウは、そのショックで記憶を失ってしまい、自分が誰かも思い出せません。
手元の荷物で自分を桜井武史と思い込んだ彼は、
住所を頼りにアパートへたどり着きましたが、
そのあまりのボロさと散らかり様に愕然とします。
さて一方、ホンモノの武史は、コンドウの居所に行ってみます。
実は、コンドウの正体は凄腕の殺し屋! 
彼のもとに、怪しげな電話がかかってきて、
コンドウと間違われた彼は、事件に巻き込まれていきます。

さて、そしてもう一人の登場人物。
雑誌編集者の水嶋香苗(広末涼子)。
彼女は突然職場で結婚宣言をするのですが、
結婚の予定日まで決まっているのに、肝心の相手はこれから探すという。
???と思っていると、彼女は記憶喪失のコンドウと知り合い、
いい雰囲気になっていくのですが・・・。

なかなか一筋縄ではいかない人物設定ですが、
やはり内田監督作品だけあって、あれよあれよという間にさらに意外な展開を見せていきます。
張り巡らされた伏線。
そして、最後にすべてが心地よく収束していくさま、
なんとも快感で、充足感に満ちたエンディングへ向かっていきます。
記憶を失ったコンドウが、やはり元の性格はそのままで
きれい好きで、計画的、前向き。
そんなところもよくできていました。



ところで、皆様はこの題名「メソッド」の意味をご存知だったでしょうか?
恥ずかしながら、私は意味を知らなくて、
辞書で見ると「方法」とか「方式」とあります。
でも更には演劇用語で「メソッド演技法」というのがあるんですね。


メソッド演技の特徴としては、担当する役柄や劇中での状況やその感情に応じて、
より自然な形で演技を行う点である。
メソッド以前の演劇においては、役者は役作りや演技を行う際は、
発声や仕草、パントマイムなどのテクニックを使用し、感情や役柄の表現を行っていたが、
メソッドでは、そうした形式的で表現主義的な古典的な演劇手法と距離を置き、
より現実と近い、自然な演技を追求している。
そのため、演技をする過程においては、担当する役柄について徹底的なリサーチを行い、
劇中で役柄に生じる感情や状況については、
自身の経験や役柄がおかれた状況を擬似的に追体験する事によって、演技プランを練っていく。
代表的なメソッド演技としては、
映画『波止場』で兄から銃を突きつけられ、なだめようとするマーロン・ブランドや、
『エデンの東』で父親に泣きつくジェームズ・ディーンの演技が知られる。
(Wikipediaより)



そういえば武史がナイフで刺されて死ぬ練習を繰り返すシーンなどもありまして、
まさに、そういう意味での「メソッド」なのでしょう。



凄腕殺し屋コンドウのさらなる意外な正体を、どうぞお楽しみください!

→運命じゃない人」
→「アフタースクール」

「鍵泥棒のメソッド」
2012年/日本/128分
監督:内田けんじ
出演:堺雅人、香川照之、広末涼子、荒川良々、森口瑤子


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2 コメント

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性格が表れる (こに)
2012-09-18 16:51:27
コンドウの丁寧で美しい文字と桜井の乱れた(?)文字、綺麗に片付いた部屋とゴミ屋敷のような部屋、見事に性格を表していましたね。
コンドウはあのまま役者になっても成功したのではないかしら。
残念ながら、映画そのものには少々退屈してしまいましたがメイン3人の演技は良かったです。
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演技 (たんぽぽ)
2012-09-18 20:39:28
>こにさま
>コンドウはあのまま役者になっても成功したのではないかしら
それもそのはず、つまり彼の本当の仕事は、演技そのものなのですもんね。
そういうところも、よくできていると思いました。
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