映画と本の『たんぽぽ館』

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ジョーカー

2019年10月11日 | 映画(さ行)

ある男の破綻と誕生の物語

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バットマンの悪役として知られるジョーカーの誕生秘話。

 

・・・ということなんですが、本作、バットマンなんかぜんぜん知らないよ、という方でも全然OKです。
私は個人的に、亡きヒース・レジャー演じるジョーカーにすごく思い入れがあったので、
本作は是非見たいと思ったわけですが、実際その後のバットマンは見ていません。
本作にはバットマンも全く出てきませんし、
そういうコミックアクション的な部分は全くなくて、
じっくり見るべき破滅的心理ドラマなのです。

 

「どんなときも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉に従い、
コメディアンをめざすアーサー(ホアキン・フェニックス)。
全く売れずに、ピエロの扮装でサンドイッチマンをするバイトで食いつないでいます。
若干神経症的なところがあって、
なぜか笑うべきでないところで突然大声で笑い出してしまうという、困った障害があります。
そんな風なので、周りの人たちにもうまく溶け込めない。
抑圧された彼の心がある日爆発し、ある事件を起こしてしまいますが・・・。

 

アーサーの壊れた心の原因は、どうも母親にあるようなのですね。
困ったとき、緊張したときほど笑っていなければならなかったアーサー。

そんな彼が、ジョーカーという化け物に変貌していくことに、
すごく説得力がありました。

そしてまた、アーサーの壊れた心のなせる技で、
彼の見ていることと現実は、異なる部分もあるのです。
そんなところに私たちは幻惑されるのですが、
アーサー自身もさらなる迷宮に入り込んでいく・・・という、悲劇でもありました。

 

できればこれも、ヒース・レジャーで見たかったところですが、
いやいや、ホアキン・フェニックスも超一流のジョーカーでした!

 

<シネマフロンティアにて>

「ジョーカー」

2019/アメリカ/122

監督:トッド・フィリップス

出演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デニーロ、ザジー・ビーツ、フランセス・コンロイ、ブレット・カレン

 

狂気度★★★★☆

満足度★★★★.5

 



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