家=家庭なのか
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優雅なのかどうか、わからない |
松家 仁之 | |
マガジンハウス |
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20年余の結婚生活を解消、
井の頭公園に接して建つ、築50年以上の一軒家を自分好みに改装し、
新しい生活を始めた匡だったが…。
欲しいのは家なのか、家族なのか。
ひとりで生きるのは、ほんとうに大変なのか。
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48歳匡(まさし)が、離婚し、古い一軒家を改装して住むというスト-リーです。
結婚して20数年、一人息子はアメリカに留学したきり戻る気配もない。
離婚の原因は、つまりは彼自身の浮気なのですが、
その相手は煮え切らない匡に嫌気がさして、ちょうど別れたところなのでした。
・・・ということで、図らずも放り出されたように一人きり。
そんな彼は、これまでなんとなく憧れていた自然のたたずまいの残る、
井の頭公園に接している築50年以上という一軒家を借り受け、改装に取りかかります。
そんな一人暮らしが順調に滑り出した頃、匡はかつての不倫相手、佳奈と再会。
佳奈は老いた父親と暮らし始めていたのですが、
その父が倒れ、介護生活を余儀なくされます。
他に頼る相手もない佳奈は、やむなく匡を頼ってしまいます。
匡は多少の復縁の下心もありつつ、佳奈に協力しますが・・・。
いっそ結婚した方がお互いのためではないか・・・、揺れる匡の心。
つい匡に頼ってしまいながらも、すべてを投げ出したくはない、
個人としての矜持を護りたいという佳奈の気持ちの方に、私はシンパシーを覚えました。
「女にも意地と誇りはあるんじゃあ!!」というやつですね。
マメで心優しい匡さんも好きですが、どこかに芯の通っている佳奈さんも好きです。
通常「家」は、家族が住まうところですが、
自己の境界の内側でもある訳ですね。
匡は家にどちらの定義をはめようとしているのか、
そういう物語なのかもしれません。
図書館蔵書にて
「優雅なのかどうか、わからない」松家仁之 マガジンハウス
満足度★★★★☆
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