映画と本の『たんぽぽ館』

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ロンドン、人生はじめます

2020年06月08日 | 映画(ら行)

夫の死でわかった、嘘にまみれた人生

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ロンドンの高級マンションに住む未亡人・エミリー(ダイアン・キートン)。
夫の死後に夫の浮気や借金が発覚。
急速に貯金は減っていくのにマンション老朽化の修繕費用がかかるし、
うわべだけのご近所づきあいにもウンザリ。
何かと心が満たされないことばかり。
そんな時、近くの自然に囲まれた公園内で、
手作りの小さな小屋に住むドナルド(ブレンダン・グリーソン)と知り合います。
しかしマンション建築予定地であるその場所から、ドナルドは立ち退きを要求されているのです。
ドナルドとともに、闘う決意をするエミリーですが・・・。

ロンドンにある広大な公園ハムステッド・ヒース。
そこには手つかずの原生林が残されており、その近辺は緑の多い高級住宅地となっています。
その一角で暮らしていたホームレスの男性が、
長年の居住を認められ、その場所の所有権を手にして、一夜にして資産家になった
---という実話から生まれたストーリー。



その小屋はともかくとして、こうした場所が私は大好き。
本当に人里離れた山の中ではなくて、適度に街にも近いと言うのがミソ。
こんな場所に私も住んでみたいです。
自然の中で、自給自足、自由に暮らす。
このときのエミリーにとってはドナルドの生活がとても好ましく思われたのでしょう。
お金のことで悩まず、ご近所の人に振り回されることもなく、
美しい緑の中で静に暮らすことが。



これまで彼女は働くこともなく専業主婦で生きてきたのですね。
でも夫が亡くなり、その夫との生活も嘘にまみれたものだったと知ったとき、
今後どう生きるべきなのか、彼女にはわからなくなってしまった。
つまりは、エミリーがこれまでとはちがう大きな一歩を踏み出すきっかけが
ドナルドとの出会いだったわけです。


ドナルドが17年前からハムステッド・ヒースに住んでいたことを証明するもの。
それを探し出す下りが若干推理小説っぽくて面白かった。
裁判でも、ドナルドは税金も払っていないと責められるのですが、彼は言います。
「自分には他の人より費用はかかっていない。
ゴミも出さないし、二酸化炭素も排出していない。」
良いですね。



そして二人は心を寄せていく訳ですが、
結局エミリーはこの小屋で彼と一緒に暮らすことができるのだろうか。
あるいは、今さらドナルドはマンション暮らしなどできるのだろうか・・・? 
そうした疑問にも見事に応えてくれる、なかなかの結末でもありました。

Amazonプライムビデオにて
「ロンドン、人生はじめます」
2017年/イギリス/102分
監督:ジョエル・ホプキンス
出演:ダイアン・キートン、ブレンダン・グリーソン、レスリー・マンビル、ジェームズ・ノートン

人生のやり直し度★★★★☆
満足度★★★★☆



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