映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

閉鎖病棟 それぞれの朝

2019年11月05日 | 映画(は行)

不安に押しつぶされそうな人々・・・

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長野県のとある精神科病院。
妻とその愛人、そして母親を殺害し死刑判決を受けたが、
死刑執行に失敗し、生きながらえて、やむなく収容されている梶木(笑福亭鶴瓶)。
幻聴があり暴れるようになった元サラリーマンチュウさん(綾野剛)。
そして、父親のDVにより行き場をなくしている女子高生・由紀(小松菜奈)など、
家族や社会から遠ざけられた、様々な過去と問題を持つ患者たちが暮らしています。

 

梶木は陶芸に取り組み、穏やかで、院内でも一目おかれていたのですが、
あるとき事件を起こしてしまいます・・・。

 

いろいろな事情でこの施設にたどり着いた人々。
そこでは一応平穏が約束されているわけですが、一生このままいるわけにはいかない。
自分は大丈夫なのか。
ここを出て社会の中に溶け込み自立して生活していけるのか・・・? 

 

様々な不安で押しつぶされそうになっている実情がひしひしと伝わります。
綾野剛さんのナイーブな感じ、いいですね。

 

特に由紀が、ようやく自分の居場所と思えたこの場所で、
またもや悲劇に見舞われるというのは本当にショッキングで、胸が潰れそう・・・。
実に感情を揺さぶられます。
そして、必死にあがき続ける彼らが、少しの希望を見出していくというエンディングもよし。
見応えのある作品でした。

 

この精神病棟の患者さんたちの様子がユーモラスなんです。
結構名の知れた俳優さんたちが演じているどこかネジの緩んだ人々。
これも見所の一つと言えましょう。
結局ここは社会の縮図。
外の世界にもいろいろな人がいて、彼らはちょっとそれが極端なだけなのかもしれません。

 

<シネマフロンティアにて>

「閉鎖病棟 それぞれの朝」

2019/日本/117

監督:平山秀幸

原作:帚木蓬生

出演:笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈、板東龍汰、平岩紙、小林聡美

 

社会の縮図度★★★★☆

満足度★★★★☆

 



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