映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

戦場のメリークリスマス

2023年02月12日 | 映画(さ行)

残酷と美と

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言わずと知れた1983年の名作。
この度デジタル素材に修復した4K修正版を劇場で見ました。
そもそも、ずっと昔にテレビの洋画劇場か何かで見て以来でしたので。

第二次世界大戦中、ジャワの日本軍捕虜収容所が舞台です。

所長である日本軍エリート士官ヨノイ(坂本龍一)の指揮の下、
粗暴な軍曹ハラ(ビートたけし)が連合軍の捕虜達を管理している。
捕虜のなかのジョン・ロレンスは日本語を解し通訳の役割をすることが多く、
ハラと話すことも多いのです。

ある時、朝鮮人軍属カネモトがオランダ人捕虜デ・ヨンを犯すという事件が起きます。
ハラはカネモトに切腹しろと迫り、ついにそれは実行されてしまう。
日本軍に於いては同性愛は死に値する恥ずべき行為、という表れでありましょう。

そんな時、新たに捕虜としてジャック・セリアズ(デビッド・ボウイ)を
受け入れることになるのですが、
ヨノイには彼に対してほのかな感情が芽生えます。
美しく凜とした個を持つセリアズに・・・。

本作は、残虐な日本軍の思想をからめながら、
ロレンスとハラの間に芽生える不思議な友情と、
セリアズとヨノイの不可思議な感情を丁寧に描いていきます。

また、セリアズは自己犠牲となり、同胞を救うという行動をするのですが、
それは自分自身の拭い去れない過去の「罪」のため。
そうしたバックボーンも説得力があって納得がいくのです。
ヨノイがよろめくのもムリはない。
カッコイイ。

本作が特別なのは坂本龍一とデビッド・ボウイという異色の人物の登用でしょう。
なんというか色香が漂いますね。
ちょっと他にどんな役者さんがこんな雰囲気を出せるか、想像できない。

そしてまた、やはり音楽が素晴らしい!!
この映画の内容は知らなくても、この音楽は知っているという方が多いのでは。
実のところ私もほとんどそれでしたが・・・。

でもやはり今さらですが、きちんと内容を知ってよかったと思います。

<サツゲキにて>

「戦場のメリークリスマス」

1983年/日本・イギリス・ニュージーランド/123分

異色性★★★★★

満足度★★★★☆



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