映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

メモリーズ・コーナー

2013年08月03日 | 西島秀俊
予想外



* * * * * * * * * *

えーと、フランス作品?
そうなんですよ~。ちょっと異色。
題材は阪神淡路大震災。
西島秀俊さんはフランス語通訳の役、ということで、
主役女性とフランス語との会話が多い。
ひゃー、役者さんも大変だねえ。


それにしても今作はちょっと肩透かしというか、
思っていた方向と違ったので結局アレ???
というままに終わってしまった感じ。
ストーリーとしてはですね、阪神淡路大震災の15年後。
記念式典の取材のため神戸を訪れた女性ジャーナリスト、アダ(デボラ・フランソワ)。

彼女についた日×仏通訳・岡部が西島秀俊。
震災後の復興住宅の居住者に思いを語ってもらうという取材のため、
石田(阿部寛)という男の家を訪ねた一行。
しかし石田は謎めいた言葉をポツリと語るのみ。
急きょそこの取材は打ち切られたのだけれど・・・。
始めのうちは見ている私も、一体日本人の彼らがアダに対して
何の警告を発しているのか、
あるいは何を隠蔽しようとしているのか、よくわからなかったんだよね。
うん、いかにも西洋から見た日本だなあ。
西島秀俊なんか、初めの方では
「陰険で何を考えているのかよくわからないオトコ」
という描かれ方をしてたよね。
東洋の神秘というか、感情を表面に出さない不気味な日本人・・・。
いやいや、つまりはスピリチュアルな物語だったわけで・・・。
なーんだ、それならそうとはじめから言ってよ・・・、と思ってしまった。
いやいや、解説も何も読まずに見たアンタが悪い。



今作でちょっとびっくりしたというか、
眼からウロコだったのが「孤独死」という言葉。
まあ、通常は誰にも見とられずに頼るものもなく一人で死んでいくことを
そう言うんだよね。
実際の死因は餓死とか病死とか・・・。
でも今作では「孤独死」というのは、
誰も心を寄せる者がなく、愛する人も愛してくれる人もいない人が
「孤独」が原因で死んでしまうという定義だったのだわ・・・。
う~む、そんなことってありますかね。
確かに、大切な人も職も失ってしまったとしたら、もう生きる意欲なんか無くしちゃうよ・・・。
その喪失感のあまりに心にぽっかり穴が開いて、命の火が消えてしまう・・・と。
ポエムだなあ・・・。
そして、そうした人は、あの世へ行くことができずに
この世をさまようというのさ・・・。
うーん、でも、ちっとも怖さはなかったね。

一番怖かったのは、バスタブの中でうずくまるアダでした・・・。
あのまま、ずるずる這い出てくるのじゃないかと思った。
それは「貞子」の連想でしょ。
でもアダは、生きてるんだし。
通訳岡部の実家が淡路島で、その母親が倍賞美津子さんなんだけど、
なぜか少しフランス語が出来るという設定。
淡路島でフランス語を話すって、どういう設定なのさ。
不自然すぎ!
いやちょっと、それは淡路島に住んでいる人に失礼じゃない。
きっと彼女は若いころフランスに関係のある仕事をしていたんでしょ。
だからこそ、息子もフランス語を学んだのだろうし。
まあ、それはどうでもいいんだけど・・・。
そんな枝葉に目が行ってしまうのは、テーマがしっかりしていないからなのかもしれない。
西島さんのフランス語が聞けただけが儲けものの作品・・・かな?



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「メモリーズ・コーナー」
2011年/フランス・カナダ/82分
監督・脚本:オドレイ・フーシュ
出演:デボラ・フランソワ、西島秀俊、阿部寛、フランソワ・パピニュ、國村隼人、倍賞美津子
スピリチュアル度★★★☆☆
西島秀俊の魅力度★★★☆☆
満足度★★☆☆☆


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2 コメント

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デボラ・フランソワ (こに)
2013-08-24 14:54:05
「タイピスト!」を観て、デボラの出演作品に本作があったと思い出しました。
本作では彼女はあまり存在感が無いのかしら。
ミア・ワシコウスカ似の風貌が好みの女優さんです。(^_^)
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タイピスト! (たんぽぽ)
2013-08-24 20:16:46
>こにさま
復活おめでとうございます(^^)
タイピスト!は楽しみにしている作品なのですが、なんと札幌の上映は10月のようです・・・。
札幌の映画環境は寂しい限り。札幌駅直近の某シネコン一人勝ち。いい映画はたくさんあるのに、一極集中という現実にがっくりきているこの頃です・・・。と、つい愚痴をいってしまったけれど、関係ありませんでした。
そうでしたか、このデボラ・フランソワがタイピスト!だったんですね。
本作は、決して主役が悪いわけではないんですよ。
ただ、ストーリーが日本人が見るには陳腐で、納得行きません。
タイピスト!・・・早く見たいなあ。
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