映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ゼロ・グラビティ

2013年12月17日 | 映画(さ行)
宇宙空間での孤独と寂寥が胸に迫る



* * * * * * * * * *


前評判も高いこの作品、奮発してIMAXの3Dでみましたが、
これがドンピシャリ!
こういう作品のためにIMAXと3Dはある。
そう確信しました。



美しく青く輝く地球を見渡しながら、
宇宙空間に浮かんだ宇宙船の船外作業をしていた、
メディカル・エンジニアのストーン博士(サンドラ・ブロック)、
ベテラン宇宙飛行士のマット(ジョージ・クルーニー)。
しかし、予想外の事故で宇宙空間に放り出されてしまいます。
酸素も残りわずか、地球との更新手段も絶たれ、
たった一本のロープでつながっている二人。
一体どうやって地球へ帰り着こうとするのか・・・。



無重力、無音。
そんな世界にたった一人放り出された時の孤独・寂寥感がビシビシと伝わってきます。
そんな中で聞こえてくる人の声のなんとぬくもりに満ちていること。
恐怖でいっぱいのストーン博士に、
極力他愛ない話を穏やかに語り続けるマットの声が心地よいですね。
彼の、こんな状況でも人を思いやる心意気、もう、涙無くして語れません。
男の中の男です!
ほとんどなすすべもなく、恐怖に駆られていたストーン博士が、
彼のおかげで正気を取り戻し、
やるべきことを自覚し、
そして生きる意欲を大きくしていく。
あらゆるパニック映画などででもそうですが、助かる秘訣はただ一つ。
絶対諦めないことなんですよね。
すぐ目の前にある地球、それが始めは果てしもない遠くに思われるのですが、
次第に現実に手の届くものになっていく。
絶対にあそこへ帰ってみせる。
そう思えたのはやはり、マットがいたからこそ。

ラストではこの地球の大地で足を踏みしめることのできる幸せを、いまさら感じてしまいますが・・・
でもその揺るぎない大地、というのも
実はそう確実なことではないのですけれどね。



舞台はひたすら宇宙空間で、登場人物もほぼ二人、後には1人だけなのですが、
次から次へと危機的状況が降りかかる。
私は緊張で思わず体を固くし、拳を握りしめていました。
爆破した機体の破片などがこちらへ向けてビュンビュン飛んでくるので、
思わず体をすくめたり目をつぶったりしちゃいますよ。
無重力の船内を浮かんでいれば、ちょっと酔いそうな気がしたり・・・。
実際に宇宙など行ったこともなく、これから行くこともないでしょうが、
なんとなく、無重力を体験したような気になってしまいました。
こういうバーチャルリアティもありでしょうか。
そうそう、涙が零れ落ちるのではなく、浮遊するのです。
不思議で美しくて、悲しいシーンでした。



本作は是非3Dでご覧になると良いと思います。
そして可能ならばIMAXで。

「ゼロ・グラビティ」
2013年/アメリカ/91分
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー

無重力度★★★★★
興奮度★★★★★
満足度★★★★★


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