映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「討ち入りたくない内蔵助」白蔵盈太 

2022年03月21日 | 本(その他)

ナマの大石内蔵助

 

 

* * * * * * * * * * * *

松の廊下での刃傷事件の情報がもたらされると、
籠城だ仇討ちだといきり立つ藩士たち。
内蔵助は彼らをのらりくらりとかわしながら、
「藩士どもを殺してたまるか! 」とお家再興に向け画策する。
しかし、精一杯やっているのに四面楚歌。
やってられるか、こんなこと!
筆頭家老の責任なんて投げ出せたら楽になれるのに……。
既存のイメージを覆す、人間・内蔵助を等身大で描く新たな忠臣蔵。

* * * * * * * * * * * *

先に、同じ著者による「あの日、松の廊下で」を読みましたが、
本作はその続編のような形になっています。
直接的につながっているわけではあありませんが。
「あの日-」では、浅野内匠頭が松の廊下で吉良上野介と刃傷沙汰になってしまった、
そのいきさつを描いていましたが、本作はその後の物語。
赤穂藩筆頭家老・大石内蔵助が、討ち入りに至るまでを描きます。

内蔵助は本当は筆頭家老なんて性に合わないと思っているのですが、
無理矢理筆頭家老を「演じて」これまで職務を務めてきました。

この度の赤穂藩への幕府の措置はあまりにも厳しく、
そして喧嘩両成敗のはずなのに吉良上野介にはお咎めなし、
というのがどうにも納得のいかない藩士たち。
籠城だ、仇討ちだ、といきり立ちます。
内蔵助はしかし、お家再興をなんとしても果たしたい。
そのためには幕府への反抗心を見せるわけにはいかないのです。
いきり立つ周囲をなだめるのに四苦八苦。
しかしついに、お家再興の望みも絶たれたとき・・・!

まことにナマの人間らしい大石内蔵助でした。
ん~、でもどうなのか。
私、忠臣蔵には全然詳しくないからなのか、本作での大石内蔵助の心中、
さほど意外な感じはなかったです・・・。

 

「討ち入りたくない内蔵助」白蔵盈太 文芸社文庫

満足度★★.5

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿