映画と本の『たんぽぽ館』

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マノレテ 情熱のマタドール

2013年04月18日 | 映画(ま行)
愛と生への執着

            * * * * * * * * *

スペインの国民的英雄闘牛士マノレテの伝記的作品です。
闘牛士の家庭に生まれたマノレテ(エイドリアン・ブロディ)は、
10代にしてその才能を開花、
瞬く間にスターの座に上り詰めます。
闘牛士の掟に「生への執着が起こる」からとして、
「女と付き合わない」というのがあるのですが、
それに反してマノレテは、奔放な美女ルペ(ペネロペ・クルス)を見初め、
激しい愛を交わす仲となります。


闘牛士としての身のこなし、美しいものだなあ・・・と思いました。
たとえ心は恐怖でいっぱいだったとしても、
背筋を伸ばし、優雅に布を振る。
エイドリアン・ブロディがかっこいい。
彼は闘牛場の外ではなんだか情けない感じなのですが、
牛と向き合うとスッと無心となり凛として見えるのです。
剣豪が真剣勝負の時に見せる気合いのような感じ。


ルペは、「あなたは私よりも死に魅入られている」というのですが、
今作の場合は、ルペこそがその魅惑の“死”から彼をこの世に引き戻しているのです。
というのも、あるときルペが姿を見せない闘牛場で
彼は負傷してしまいますし、最後の闘牛の時も・・・。


マノレテは、ルペと二人だけの時に彼女を「マミータ(お母さん)」と呼びます。
彼にとっては、共にいて至福の相手が「マミータ」なのでしょう。
けれど、彼女のことをそう読んでいることを他の人には言わないで、とも言います。
まあ、それはわかりますね。
マノレテは最期の場面で、「マミータ」と呼ぶのですが、
周りの人は「お母さん」を呼んでいるのだと思います。
ルペは彼との約束とプライドを守るために、
彼のそばへ行くことができません。
彼を深く愛するがゆえのこと・・・
切なさがこみ上げる名シーンでした。


単に闘牛の名手というだけでなく、
このようなナマの愛と人の姿を描いたというところで
成功している作品だと思います。
それにしても、ペネロペ・クルス。
美しく妖艶。
情熱的。
そして奔放。
こういう役には実にドン・ピシャリですよねー。
女ながら、つい見入ってしまいます。

マノレテ 情熱のマタドール [DVD]
エイドリアン・ブロディ,ペネロペ・クルス
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


「マノレテ 情熱のマタドール」

2010年/スペイン・イギリス・フランス・アメリカ・ドイツ/92分
監督:メノ・メイエス
出演:エイドリアン・ブロディ、ペネロペ・クルス、サンティアゴ・セグーラ、フアン・エチャノベ、アン・ミッチェル


情熱度★★★★☆
満足度★★★★☆


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