映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

約束のネバーランド

2021年12月29日 | 映画(や行)

残酷な運命を背負う子どもたち

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原作のコミックもアニメも見ていませんが、どんな話か興味はあったので拝見。

人里離れた自然の中、楽園のような孤児院「グレイス=フィールドハウス」が舞台です。
子どもたちは母親代わりの優しいイザベラ(北川景子)を「ママ」と呼んで親しみ、
いつか里親に引き取られる日を待って過ごしています。

ある日、年長者エマ(浜辺美波)とノーマン(板垣李光人)は、
自分たちが園を出る日は、鬼の食料として命を奪われる日である
という恐ろしい真実を知ってしまいます。
ここは楽園ではなく、鬼のための食用児を育てる農園であり、
ママは飼育監だったのです。
この2人に、同じく年長者のレイ(城桧吏)も加わり、
自分たちだけでなく孤児全員を引き連れて脱出する計画を立て始めます。

 

何かの目的のために育てられる孤児たち、といえば、
カズオ・イシグロ氏の「わたしを離さないで」を思い出します。
同じ方向ではありつつも、さすがにこちらは原作がコミック。
直接的に「食用」に飼育されるという残酷な運命を子どもたちは背負っています。

ストーリーが進んで、この外の世界の有様が語られると、
その残酷な世界観に心震えてしまいます。
鬼と人間との密約によって、平和的に鬼の「食用児」を供給するシステムができあがっている。
関係者以外の大多数の人間は、鬼のことも知らず、
ましてや食用にされる子供のことも知らず、
平和な日常を過ごしているというのですね。
鬼と人間の果てしなく不毛な闘いを止めるための手段であったようなのですが・・・。

まあ、とすれば万一子どもたちが皆脱走することが出来れば、
他の人々に紛れて生きていくことは可能なのかもしれません。
が、本作中ではその先のことまでは描かれていません。

 

本作では子どもたちが知恵と勇気をふりしぼって、どう生き抜き、ここを脱出しようとするのか、
というところがメインとなっています。
ストーリーとしては、まあ楽しめましたが・・・。
お子様向けの感は拭いきれない。

<WOWOW視聴にて>

「約束のネバーランド」

2020年/日本118分

監督:平川雄一朗

原作:白井カイウ、出水ぽすか

出演:浜辺美波、城桧吏、板垣李光人、渡辺直美、北川景子

 

怖さ★★☆☆☆

自己犠牲度★★★★☆

満足度★★★☆☆



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