映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

合葬

2015年10月07日 | 映画(か行)
未来を見失った若者たち



* * * * * * * * * *

杉浦日向子さんの原作コミックの映画化。
原作も今読んでいるところなのですが、
非常にその雰囲気がよくでていると思います。



時は幕末。
将軍の警護と治安維持を目的に結成された彰義隊は、
江戸の町人たちにも信頼を寄せられていましたが、
幕府の解体によって反政府的立場に追いやられてしまいます。

将軍慶喜に忠誠を誓った秋津極(キワム)(柳楽優弥)は、
彰義隊と官軍の決戦を望んでいます。
養子先から追い出され行くあてのない吉森柾之助(瀬戸康史)は、
幼なじみの極に誘われ彰義隊に入隊。
同じく幼なじみの福原悌二郎(岡山天音)は
彰義隊の意義には疑問を持ちながらも友人二人の身を案じて入隊。
そしてやがて決戦の時が・・・。



彰義隊にしても新選組にしても、激動の時代にあって、
幕府側にいた若者たちは幕府の終焉によって
彼らの当然あるべき未来が失われてしまったわけです。
夢も希望もあるべき彼らの、持って行きようのないエネルギーが、
どう見ても負の方向としか思えない方向へ向かっていく。



こんな時は、より真摯であろうとする者の方が
より修正が効きにくいんですね・・・。
実は、あまりこだわりがなくてただ流されている柾之助のほうが、
うまく生きていける。
これは幕末の物語ではあるけれど、もしかしたら何時の世でも
社会と若者の普遍的な関係のような気がしてきました。
新しい日本を信じて、前進しようとした者たちももちろんいたでしょう。
けれどそうでない者たちも多くいたということですね。
そのいわば負け組の物語も、私達の胸を打つ。
3人で写した写真が、心にしみますねえ・・・。



柳楽優弥さん、カッコ良かったです!! 
侍姿が似合います。
「許されざる者」の時と比べたら、全く違って、いい!

「合葬」
2015年/日本/87分
監督:小林達夫
原作:杉浦日向子
出演:柳楽優弥、瀬戸康史、岡山天音、オダギリジョー、門脇麦


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