二重の苦しみに襲われながら
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世界で初めて盲ろう者の大学教授となった福島智さんと、
母令子さんの実話を元にしています。
関西の町。
教師の夫と3人の息子と暮らす令子(小雪)。
3男・智が、幼少期に失明。
それでも、智は天真爛漫に育ち、やがて、東京の盲学校で高校生活を送るようになります。
ところが、18歳の時に、智は聴力も失うことになるのです。
暗闇、無音の世界。
宇宙に1人で放り出されたような孤独に、
智は気力も奪われてしまいますが・・・。
ここの下りは、涙なくしては見ることができません。
暗闇の生活というだけで大きなハンデなのに、さらに音までも奪われてしまうというのは、
一体どうした神の気まぐれ、というか嫌がらせとしか思えないですよね。
手話も役に立たないというこの状況で、
どうやって人とコミュニケーションをとるのか・・・?
でも、ヒントは点字にありました。
智はもちろん幼い頃から点字を身につけています。
そして母も、なんとか智の力になりたいと思い、点字を覚えていたのです。
その母が、智との日常生活の中で、新たなコミュニケーション手段「指点字」を考案する。
これこそが、智を孤独から救ったのです。
少なくとも盲学校の友人たちには、有用な手段ではあります。
人は大きな困難も乗り越えることができる。
でもそれは周囲の人々とのつながりの中で。
たった1人ではダメなんですね。
そんなことを強く思いました。
心打たれる作品です。
<WOWOW視聴にて>
「桜色の風が咲く」
2022年/日本/113分
監督:松本准平
出演:小雪、田中偉登、吉沢悠、吉田美佳子、山崎竜太郎
ハンデキャップ度★★★★★
母の愛度★★★★★
満足度★★★★☆
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