映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

桜色の風が咲く

2023年09月15日 | 映画(さ行)

二重の苦しみに襲われながら

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世界で初めて盲ろう者の大学教授となった福島智さんと、
母令子さんの実話を元にしています。

 

関西の町。
教師の夫と3人の息子と暮らす令子(小雪)。

3男・智が、幼少期に失明。
それでも、智は天真爛漫に育ち、やがて、東京の盲学校で高校生活を送るようになります。
ところが、18歳の時に、智は聴力も失うことになるのです。

暗闇、無音の世界。
宇宙に1人で放り出されたような孤独に、
智は気力も奪われてしまいますが・・・。

ここの下りは、涙なくしては見ることができません。
暗闇の生活というだけで大きなハンデなのに、さらに音までも奪われてしまうというのは、
一体どうした神の気まぐれ、というか嫌がらせとしか思えないですよね。
手話も役に立たないというこの状況で、
どうやって人とコミュニケーションをとるのか・・・?

でも、ヒントは点字にありました。
智はもちろん幼い頃から点字を身につけています。
そして母も、なんとか智の力になりたいと思い、点字を覚えていたのです。

その母が、智との日常生活の中で、新たなコミュニケーション手段「指点字」を考案する。
これこそが、智を孤独から救ったのです。
少なくとも盲学校の友人たちには、有用な手段ではあります。

人は大きな困難も乗り越えることができる。
でもそれは周囲の人々とのつながりの中で。
たった1人ではダメなんですね。

そんなことを強く思いました。
心打たれる作品です。

<WOWOW視聴にて>

「桜色の風が咲く」

2022年/日本/113分

監督:松本准平

出演:小雪、田中偉登、吉沢悠、吉田美佳子、山崎竜太郎

 

ハンデキャップ度★★★★★

母の愛度★★★★★

満足度★★★★☆



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