いくつになったって、女子だから
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大会社の人事部長、神崎(大泉洋)。
人からは出世街道まっしぐらと見えていますが、
実のところ、職場では常に神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、
大学生の娘・舞(永野芽郁)との意思不通など、悩みが多い・・・。
ある時、母・福江(吉永小百合)が暮らす下町の実家を訪ねると、
母が何やらイキイキとしていることに気づき・・・。
山田洋次監督、出演が吉永小百合さんに大泉洋さんと来ればもう、
おかしくて、ちょっぴり苦く、そしてやがてほのぼの・・・が、
約束されているようなもの。
とにかく安心して楽しく見ることができます。
神崎は人事部長ということで、リストラも仕事の一つ。
大学時代からの友人にして同期採用の木部(宮藤官九郎)の
首を切らなければならなくなり、苦悩します・・・。
ところがこの木部が断固として退職を拒むので、いよいよ面倒なことになっていく・・・。
そんな神崎は、下町の実家で、
「ひたすら一日せんべいを焼くような、そんな仕事がいいなあ・・・」とぼやくのです。
この神崎の実家は足袋屋で、今も福江が商売を続けています。
今時足袋屋なんて・・・と思ったのですが、
近所の相撲部屋のお相撲さんたちが足袋を買いに来る。
なんだかんだいっても和装には必ず必要となるものでもあるし、
需要は一定数あるわけで、なければ困るものでもありますね。
ところで吉永小百合さんって、何歳?って、調べたら78歳。
ひゃ~、化けもののようにお若いですね。
こんな方なら、恋だってするでしょうよ。
息子は、母が恋をしているなどと聞いて目くじらを立てますが、
ぜんぜんアリだと思います。
というか、「恋」といっても多分、ちょっとした憧れとか
そばにいたいというくらいの気持ちだと思うのですよね。
いくつになっても女子にはそういう所があると思うし、必要だと思う。
その恋が、儚くも散ってしまうときの母の落胆。
切ないですね、一緒に泣きたくなる。
そういう所がさすがの吉永小百合さんの表現力。
そんな中で、唯一若さを放っているのが神崎の娘、永野芽郁さん。
彼女は母親に反発し、家出をしてこの祖母の家にやって来ます。
古い家、老女の一人暮らしの所に、若い女子が入ると途端に華やぎます。
実生活もそうだと思うのですよ。
年寄りばかりを集めたホームやシルバーマンション・・・
そうではなくて、様々な年代の人が近くに住んで協力し合う方が
良くはないかと常々思うのですが・・・。
などと色々考えつつ楽しんだ作品。
<シネマフロンティアにて>
「こんにちは、母さん」
2023年/日本/110分
監督:山田洋次
原作:永井愛(戯曲)
脚本:山田洋次、朝原雄三
出演:吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、YOU、寺尾聰、田中泯、宮藤官九郎
下町度★★★★☆
大企業のサラリーマン度★★★★☆
満足度★★★★☆
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