映画と本の『たんぽぽ館』

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ひと夏の隣人

2023年09月27日 | 映画(は行)

引きこもりの二人

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有料映画チャンネルIMAGICA TV、イマジカBS開局20周年記念作品。

 

中2の赤石千織(山口まゆ)は、現在不登校で引きこもり中。
学校でのトラブルや両親の離婚などが重なり、相当のストレスを抱えていたようです。

そんな彼女が、窓から見える隣家に引っ越してきた男に興味を持ちます。
その男・鈴木(田口トモロヲ)も何か訳ありで、
引きこもって暮らしているようなのです。

鈴木が部屋で見ていた「愛の嵐」の映画をきっかけに、
2人は言葉を交わすように。
ただ黙って話を聞いてくれる鈴木に、千織は次第に心を開いていきます。

ところがある日、学校の担任が訪ねて来たのをきっかけに、
千織の鬱屈は爆発してしまいます。

 

自分は「普通」ではない、「特別な存在」なんだと思う千織。
この2人は映画の話をすることが多いのですが、千織はどの映画もけなしてばかり。
そんな彼女が唯一気に入ったのが「キャリー」で、
みんなからバカにされのけ者にされていたキャリーが、
最後に恐ろしい力を発揮するというところに共感したようです。

こんなエキセントリックというか、見ようによっては
あまりにも尖っていて独りよがりの彼女の言動を、
バカにせず正面から受け止めてくれる鈴木。
やさしいことは言わないけれど、だからこそ信頼できると感じる千織。
そんな鈴木が好きな映画は「マグノリア」。
この世はどんなことだって起こりうる。
鈴木はそう言うのです。

 

まあ、それにしても千織の担任は、実際最悪ですけどね。
不登校なんて何でもないと強がりを言う千織は、
でも実のところかなりストレスを抱え込んでいるのです。
鈴木と話をすることで少し和らいではいたものの、
担任のダメ押しでついに爆発してしまう!!
全く、ハラハラさせられます。

 

最後の決着は、鈴木の引きこもりの要因もからんで、なかなか見事でした。

最後に千織は「私はやっぱり普通」というのですが、
いやいや、私はどんな人だって「特別」であるべきだと思いますよ。
千織はやっぱり特別です!!

 

鈴木が大事に育てていたのは木蓮ですが、
「マグノリア」は木蓮のことでもありますね。

 

通常の映画検索では出てこない作品なのですが、
これはなかなかの掘り出し物です。

 

<Amazon prime videoにて>

「ひと夏の隣人」

2016年/日本

監督:杉山嘉一

脚本:工藤裕子

出演:山口まゆ、田口トモロヲ、西田尚美、斉藤陽一郎、松本妃代、清水尋也

 

引きこもり度★★★★☆

特別の少女度★★★★★

満足度★★★★☆



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