映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ボーダー 二つの世界

2020年06月22日 | 映画(は行)

人間の姿ではあるけれど、実は人間ではない異質な者

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「ぼくのエリ200歳の少女」原作者、ヨン・アイビデ・リンドクビストが、
自身の原作を元に共同脚本を手がけた北欧ミステリ。
本作はこの情報が結構貴重なのです。
人間の姿であって実は人間ではない異質なもの。
そういうものを描いているという点では同じなので、
この原作の情報を持っていれば、戸惑いは多少なりとも少なくて済みます・・・。

醜い容姿のため、孤独で疎外感を持っている税関職員のティーナ(エバ・メランデル)。
彼女は違法なものを持ち込む人間を嗅ぎ分ける特殊な力を持っています。
そのため、職員としては極めて優秀なのでした。
そんな彼女が、不審な旅行者ボーレ(エーロ・ミロノフ)と出会います。
どこか風貌が似ている感じがする二人。
ティーナはボーレに本能的な何かを感じ、
自宅の離れを宿泊先として彼に提供します。
やがて、この二人の秘密が明らかになる・・・。

ティーナが不審者を嗅ぎ分けるというのは、
麻薬の匂いを嗅ぎ分けるというのとはちがうのです。
人の恐れや怒りなど、ネガティブな感情を匂いとして感じとる。
彼女は社会の中には溶け込めないと感じていて、
森の中に一人でいるときが一番自分らしく自由と感じます。
そんな彼女のルーツが実は・・・というストーリー。



はい、ストーリーはいいと思うのです。
けれども、どうにもこうにも、美しくありません・・・、この二人が・・・。
見た目で人を判断してはいけない、
そういう良識を打ちのめされてしまうのがちょっとつらいです。
そしてこの二人の食事とか愛のシーンがまた、強烈というかショッキングというか・・・、
逃げ出したくなる感じ。
う~ん、評価は高い作品なのかもしれないけれど、
私は見なけりゃ良かったと思う・・・。

この二人を演じた俳優さんは双方れっきとしたステキな俳優さんで、
もちろん特殊メイク。
いやあ、良くできています。
作り物感がないから余計に悲惨な感じがするのです。
そして、お二人ともこの役のために20㎏の増量をしたのだとか。
効果ありすぎ。
私はてっきりボーレは狼男にでも変身するのかと思って見ていたのですが、
そうではありませんでした。
それよりももっと由緒ある(?)ものでした。
確かに強烈なインパクトのある作品ですが、好き嫌いはあるでしょう・・・。

<Amazonプライムビデオにて>
「ボーダー 二つの世界」
2018年/スウェーデン・デンマーク/110分
監督:アリ・アッバシ
出演:エバ・メランデル、エーロ・ミロノフ

グロさ★★★★★
満足度★★☆☆☆



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