映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ロシアン・ドールズ

2015年10月04日 | 映画(ら行)
友情であれ、愛情であれ・・・



* * * * * * * * * *

「ニューヨークの巴里夫」から時間を逆行してみました。
セドリック・クラピッシュ監督の「スパニッシュ・アパートメント」から始まるシリーズ3部作。
「スパニッシュ・アパートメント」から5年後、
「ニューヨークの巴里夫」の10年前という位置関係にあります。
私は先に「ニューヨークの巴里夫」を見てしまったので、
結局グザヴィエは最後に誰をえらぶのか、それはわかっていましたが、
それでも、とても興味深くみることができました。



30歳ライターのグザヴィエ(ロマン・デュリス)は、パリで次第に作家としても認められ、
ゴーストライターやテレビドラマの脚本を書きながら暮らしています。
女性遍歴は多々あるけれど、どれも結婚にまではいたらない。

「理想の女性なんかいない。夢を追うのやめなさい。」

グザヴィエは人にはそう忠告されますが、
何故か同じ警告を自分自身がある女性に発しているのに気付きます。
その相手がロンドンに住むウエンディ(ケリー・ライリー)。
彼女も、男性遍歴を重ねながら、結婚したいと思える人には巡り合っていないのです。


・・・というか、本作に登場する男女は皆そうなんですけどね。
そんな中で、愛を貫きロシア語までマスターして
ロシア人のバレエダンサーと結婚したのがウィリアム(ケヴィン・ビショップ)。
彼の結婚式のために、久々に「スパニッシュ・アパートメント」で共に暮らしたメンバーが集まります。
船の上で、どんちゃん騒ぎのパーティーの後の夕暮れ。
誰もがふと現実に帰り、物哀しい思いにとらわれる時間が訪れる・・・
という演出がナイスでした。
楽しい時や、これそ至上の愛!と思える瞬間は一瞬のものなんですねえ・・・。
けれどそんな時に、自分の本当の気持に向き合えるグザヴィエなのでした。


ロシアン・ドールズというのはつまりあの、マトリョーシカですね。
人形の中からまた人形が現れる。
それと同じように、一人の女性でも毎日一つの殻を脱ぎ捨ててまた別の面を見せる。
生きているということは変化することなのかもしれません。


ここでの一応ハッピーエンドは、10年後の物語では無残にも崩れているわけで・・・
無常です。
でも、愛情であれ、友情であれ、
長く信頼関係が続いていくというのもなんだかいいなあと思います。
本作ではグザヴィエとレズのイザベル(セシル・ドゥ・フランス)の関係が、
変にこじれることがなくて一番安心して見ていられます。


ロシアン・ドールズ スパニッシュ・アパートメント2 [DVD]
セドリック・クラピッシュ
角川エンタテインメント


「ロシアン・ドールズ」
2005年/フランス・イギリス/130分
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、セシル・ドゥ・フランス、ケリー・ライリー、ケヴィン・ビショップ
人生と愛度★★★★☆
満足度★★★.5


最新の画像もっと見る

コメントを投稿