はじめは嫌悪しか感じないが・・・
* * * * * * * * * *
軽妙なロマンチックコメディの名手ウッディ・アレン監督。
私はどちらかと言えば、さほどのファンではなく、積極的には見ないのです。
でも本作、何しろケイト・ブランシェットが第86回アカデミー賞主演女優賞を獲得した作品ということで、
やはり見なくては!という気持ちに駆られました。
でも本作は“軽妙”というのとは少し風合いが異なります。
ニューヨークの資産家ハル(アレック・ボールドウィン)と結婚したジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、
セレブリティとしてゴージャスな生活を送っていました。
しかし、結婚生活と共に地位も資産も失い、
サンフランシスコの妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)の家へ身を寄せることになります。
ジンジャーは全く庶民的生活をしているシングルマザー。
ジャスミンはセレブな生活意識から抜けることができず、
再び華やかな世界へ返り咲こうとするのですが・・・。
ジャスミンというのは本名でなく、本当はジャネットというのです。
そういうありふれた名前でなく、
少しでも自分を素敵に見せたいという虚栄心のカタマリの彼女。
この名前にすべてが現れています。
もともと彼女は自分で働いたことがありません。
お金持ちの妻ということだけで、
自分自身が他の人よりも『上』であるかのような・・・、
そんな鼻持ちならない彼女に、始めのうちは嫌悪しか感じません。
彼女は、妹が結婚を考えている相手(作業員)を、つまらない男と見下す。
地道に働いて、時々みなで集まって野球を見ながら飲んで騒いで
・・・いいと思うんですけどねえ。
彼女の価値観ではこういうのは「くだらない」わけなのです。
しかし、こんななにもできなくてプライドばかり高い彼女に
いったい何ができるでしょう。
気持ちばかりが高じて、どうにもならなく、
次第に精神の変調をきたしていく始末。
しかし、“人物”よりも人物の後ろにある“お金”でしか人の価値を測れない彼女の道は、
やはり一つしかない・・・。
ただひたすら、嘘をつき、もがき続ける彼女の姿が、
逆に次第に愛おしく感じられて来ます。
気の毒・・・というのとも違う。
もっと身の丈にあった幸せを見つけようと思えばいくらでもあるのに、
手の届かない夢ばかりを追いかける、
そんな彼女の姿は、実は自分の中にもあるわけなのです。
求める方向性は全く感心できないけれども、
やっぱり普通にちっぽけで悲しい人間。
そして最後にわかる驚きの真実。
彼女は多分自分の行為の非を認めたくないのでしょう。
自分がまたセレブに返り咲くことで
自分の行為を正当化しようとしているように思える。
本人にそういう自覚はないのかもしれませんが。
悲しいほどに、もがき続ける“憂鬱なジャスミン”・・・。
なんだか彼女を見つめる目が優しくなっていく自分に気づきます。
これこそがウッディ・アレンのマジックなのかな?
なかなか興味深い作品なのでした。
主演女優賞には納得。
「ブルージャスミン」
2013年/アメリカ/98分
出演:ケイト・ブランシェット、サリー・ホーキンス、アレック・ボールドウィン、ピーター・サースガード、ルイス・C・K
女のみっともなさ★★★★★
満足度★★★★☆
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軽妙なロマンチックコメディの名手ウッディ・アレン監督。
私はどちらかと言えば、さほどのファンではなく、積極的には見ないのです。
でも本作、何しろケイト・ブランシェットが第86回アカデミー賞主演女優賞を獲得した作品ということで、
やはり見なくては!という気持ちに駆られました。
でも本作は“軽妙”というのとは少し風合いが異なります。
ニューヨークの資産家ハル(アレック・ボールドウィン)と結婚したジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、
セレブリティとしてゴージャスな生活を送っていました。
しかし、結婚生活と共に地位も資産も失い、
サンフランシスコの妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)の家へ身を寄せることになります。
ジンジャーは全く庶民的生活をしているシングルマザー。
ジャスミンはセレブな生活意識から抜けることができず、
再び華やかな世界へ返り咲こうとするのですが・・・。
ジャスミンというのは本名でなく、本当はジャネットというのです。
そういうありふれた名前でなく、
少しでも自分を素敵に見せたいという虚栄心のカタマリの彼女。
この名前にすべてが現れています。
もともと彼女は自分で働いたことがありません。
お金持ちの妻ということだけで、
自分自身が他の人よりも『上』であるかのような・・・、
そんな鼻持ちならない彼女に、始めのうちは嫌悪しか感じません。
彼女は、妹が結婚を考えている相手(作業員)を、つまらない男と見下す。
地道に働いて、時々みなで集まって野球を見ながら飲んで騒いで
・・・いいと思うんですけどねえ。
彼女の価値観ではこういうのは「くだらない」わけなのです。
しかし、こんななにもできなくてプライドばかり高い彼女に
いったい何ができるでしょう。
気持ちばかりが高じて、どうにもならなく、
次第に精神の変調をきたしていく始末。
しかし、“人物”よりも人物の後ろにある“お金”でしか人の価値を測れない彼女の道は、
やはり一つしかない・・・。
ただひたすら、嘘をつき、もがき続ける彼女の姿が、
逆に次第に愛おしく感じられて来ます。
気の毒・・・というのとも違う。
もっと身の丈にあった幸せを見つけようと思えばいくらでもあるのに、
手の届かない夢ばかりを追いかける、
そんな彼女の姿は、実は自分の中にもあるわけなのです。
求める方向性は全く感心できないけれども、
やっぱり普通にちっぽけで悲しい人間。
そして最後にわかる驚きの真実。
彼女は多分自分の行為の非を認めたくないのでしょう。
自分がまたセレブに返り咲くことで
自分の行為を正当化しようとしているように思える。
本人にそういう自覚はないのかもしれませんが。
悲しいほどに、もがき続ける“憂鬱なジャスミン”・・・。
なんだか彼女を見つめる目が優しくなっていく自分に気づきます。
これこそがウッディ・アレンのマジックなのかな?
なかなか興味深い作品なのでした。
主演女優賞には納得。
「ブルージャスミン」
2013年/アメリカ/98分
出演:ケイト・ブランシェット、サリー・ホーキンス、アレック・ボールドウィン、ピーター・サースガード、ルイス・C・K
女のみっともなさ★★★★★
満足度★★★★☆
このふるまい みてると 胃がムカムカしますね。
>ただひたすら、嘘をつき、もがき続ける彼女の姿が、
逆に次第に愛おしく感じられて来ます。
けど それでいて 次第にブラックユーモアの憎めない気持ちになるのはウッディアレンの演出の技術の賜物です
>女のみっともなさ★★★★★
ハハハ・・・・厳しい~
確かに「ブルージャスミン」見た人たちの感想ブログを拝見したのですが ほとんどの人たちがジャスミンにたいして ムカツクとか 甘っちょろい といった意見が多いです。
このジャスミンは どう見ても人生経験ゼロの世間知らずですよね。
それに振り回される 周囲の者たちの気持ち 考えてみてくださいよ、とジャスミンに言ってやりたい
自分も含めて、自戒の念を込めて「女のみっともなさ」と表現してみました。
多かれ少なかれ、人って生きていくのはみっともないことなんじゃないかな?・・・などと思ったりします。
虚栄心は誰の中にもありますしね。
コロナの影響で 緊急事態宣言が騒がれた時期で、自宅待機の日々が続き 実は私の地元の ツタヤさんが 通常7泊8日なのが 14泊15日という二週間借りれるようにしてくれた時期があったんですよ
なんか このジャスミンの落ちぶれを見てると、ボクのおじさんを思い出したんです。 バブル時期に板金の自営業をやってまして、 腕はよかったんですが
「オレのいうとおり動いてりゃいいんだ」
「さっさとやれや このばか」etc
従業員は 兄弟 従兄弟などを使ってたんですが 親戚だったためか横柄かつ横暴なふるまいでした。 ふだんの生活でも息子に対して押さえつける言い方だったり・・・そんなおじさんもバブル崩壊後 倒産して 従業員はもちろん子供たちも自立することもあってか みな愛想尽かして去っていき 奥さん つまりボクの叔母さんだけしか残りませんでした。
倒産後 板金の腕を活かしてその道に再就職したり あるいは別の職種に再就職しようとしましたが いかんせん羽振りが良かったときの見栄っぱり根性が抜けれず 上からもの言う態度や 他人に使われるのがイヤで 仕事も上手くいかない・・・
最終的に ただのニートのおっさんに 成下がったんですよ。
威張ることしか能がなく 生活費も 叔母さんがパートを掛け持ちで やっと生活できたくらいだったんですよ。
ジャスミンもね、普段の態度が上から目線なのはね・・・人間、成功している時の態度で「根」が分かってしまうのですね。 栄枯盛衰でいつかは必ず落ちぶれるのに 見栄ってやっかいです。
お久しぶりです。
>人間、成功している時の態度で「根」が分かってしまう
なかなか鋭いですね。成功者が必ずしもいばりんぼとは限らない。自分が上の立場に立ってすべてを支配しようとする人は、もともとそういう人だった、ということの方が、しっくり来る気がしました。