映画と本の『たんぽぽ館』

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最後のランナー

2018年07月30日 | 映画(さ行)

ある金メダリストのその後

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1924年パリオリンピック、400メートル走で金メダルを獲得したエリック・リデルの
その後のエピソードを実話をもとにして描いた作品。
この方は、1981年「炎のランナー」の映画でモデルになった方だそうで、
そちらの作品は見ていないので、ぜひ見てみたくなりました。



敬虔なクリスチャンであるエリック・リデルは、
それが故に、オリンピックの100メートル走の決勝が日曜日に行われたため
出場しなかったことでも話題となりました。
そんな彼は、宣教師として生きる道を選択し、
オリンピックの翌年中国の天津へ渡ったのです。
彼は布教活動の傍ら、人道支援を行ったり、中国の子どもたちに勉強を教えたりして、
地元の人々の信頼を得ていきます。

1937年、中国は日本軍の占領下に。
リデルは妻と子どもたちを妻の生地カナダへ帰したのですが、
彼は残り、他の欧米民間人らと共に収容所へ入れられてしまいます。
リデルが金メダリストであることが収容所指揮官の耳に入り、リデルにレースを申し入れ、
体力をつけるようにと多くの食料が与えられたのですが、
リデルはすべて他の収容所の人々に分け与えてしまいます・・・。
ただでさえ劣悪な環境下、リデルは指揮官に余計な不興を買ってしまい、
体を壊すことになってしまいますが・・・。

このような環境下でこそ人間性が現れてくるものですよね。
走ることで鍛えた体力と、神に支えられる不屈の情熱と信念が、
常の人にはできないことをもやってみせたように思います。
けれど人の力には限界もあるということか・・・。



日本軍による収容所で、サディスティックな指揮官に苦しめられる欧米兵・・・
というストーリーは多いですね。
日本人としては見るのが辛いけれど・・・戦争とはこうしたものです。
立場を違えて同様なこともあったに違いありません。
でも本作中には、収容されている者たちに同情を寄せて
善意を見せる日本兵たちも登場するのがウレシイところです。

かつてオリンピックで栄光を手にしながらも、その後の運命は必ずしも明るいわけではない。
一人ひとりのドラマがそこにあるのでしょう。
ずしりと胸に響くドラマが・・・。


<ディノスシネマズにて>
「最後のランナー」
2016年/中国・香港・アメリカ/96分
監督:スティーブン・シン
出演:ジョセフ・ファインズ、ショーン・ドウ、エリザベス・アレンズ、小林成男
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆



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