映画と本の『たんぽぽ館』

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朝が来る

2021年05月28日 | 映画(あ行)

望まれない妊娠の果て

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栗原夫妻(井浦新、永作博美)には、長年子どもができず、
子どもを作ることは諦めたのですが、特別養子縁組により男の子を迎え入れることにします。
生後まもなく引き取ったその子は朝斗と名付けられ、順調に成長。
そしてその6年後、朝斗の生みの親「片倉ひかり」を名乗る女性(蒔田彩珠)から、
「子どもを返して欲しい、それがダメならお金が欲しい」という電話が・・・。

辻村深月さん原作で、監督は河瀬直美さん。
というわけで、独特の陰りを帯びた作品となっています。

ここでは、ある女性(浅田美代子)が、広島のとある島に施設をつくり、
望まれない子どもを妊娠した女性が、出産までの間滞在できるようにしたのです。
そして赤子は出産直後に、養子縁組を望む人たちに受け渡される。
妊婦たちは数ヶ月の間同じ境遇の人々と共同生活を送り、
ある意味満ち足りた時間を過ごします。



朝斗の生みの母、ひかりもそうでした。
彼女はなんと初恋の同級生との間で妊娠してしまった14歳。
世間体を気にし、困り果てた親の勧めでここへやって来ました。
出産し、子どもを養父母に渡すときには、
生まれた子どもへの手紙を養父母に託す、心優しげで純真に思えた、ひかり。

ところが、その後単身で実家に戻った彼女に、家族たちは冷たい。
人生の道を踏み外した厄介者としか見られていないことに失望し、
ひかりは家を出るのですが、当然生活はキビシイ。

髪を金色に染め、はすっぱな物言いをする少女を、
栗原夫妻はとてもあの時の少女だとは思えなかったのです・・・。

本来出産は祝福されるべきもの。
けれど状況によってこんなに忌むべきことになってしまうというのは切ないですね。

 

私は想像します。もし、ひかりの家族が世間体など気にせず、
この赤ん坊の誕生を祝うことができたら・・・。
家族みんなで、笑顔で子育てを楽しむことができたら・・。
そういうあり方だってあったわけですよね。
今時、子どもは貴重ですからね。
そうだったら良かったのに・・・。

ともあれ、栗原夫妻はなかなかできた人たちのようなので、
今後はひかりへの心のケアも期待できるのでは・・・なんてね。

見応えのある作品でした。

 

 

蒔田彩珠(あじゅ)さんは、清楚で意志の強そうな美少女。
あ、朝ドラ「おかえりモネ」の主人公の妹役ですね! 
うーむ、きっと何年か後に今度は主人公に抜擢されそうな気がします。

若葉竜也さんと青木崇高さんが、ヤクザの借金取りで出てきたのには、笑った。

 

Amazonプライムビデオにて

「朝が来る」

2020年/日本/139分

監督:河瀬直美

原作:辻村深月

出演:永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子

 

社会問題度★★★★☆

満足度★★★★☆

 



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