そっと寄り添うだけでいい
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漫画家の泉本真治(山下智久)は、連載漫画も軌道に乗り、
自身の作品が映画化されるという朗報を聞いたところです。
ところがその喜びもつかの間、突然失明してしまいます。
連載漫画も休載、一緒に暮らしていた祖母(夏木マリ)の面倒も見られなくなります。
一人になった真治は、孤独と恐怖に襲われ、ベランダから身を投げ出そうとします。
その時、真治の漫画ファンの相田響(ひびき)(新木優子)に助けられますが、
その響は耳が聞こえないのでした。
目が見えない真治と耳が聞こえない響。
互いの意思疎通はかなり困難ではありますが、
寄り添うだけで安心感を得る二人は、不思議な共同生活を始めます・・・。
障害のある二人というのは、あまりにも盛りすぎなのでは?
と思わないでもないのですが、でも、そういう二人だからこそ、
互いの痛みがよく分かるし、互いに補い合いたいという思いが強いのかも知れません。
響は生まれつきのろう者なので、発声が得意ではないのです。
そのため、ほとんど声を出すことはありません。
ということで、肝心の手話は真治には見ることができないので、役に立ちません。
ではどのように意思の疎通を図るのか。
響は、真治の手のひらに指で文字を書きます。
もっと細かなことを伝え合うときには、やはり今時のテクノロジーを利用します。
スマホのアプリで、真治からは話した言葉を文字に変換。
響からは打ち込んだ文字を音声に変換。
なるほど、今ならこういうこともできるわけですね。
でも、この二人には言葉は必要なくて、
互いに寄り添ってその温もりを確かめ合えればそれでいいのです。
が、しかし、生きていくためにはお金も必要なのであります。
真治は、かつてのアシスタントの協力も得て、
漫画の仕事を続けることができるようになったのですが、
編集者は「売る」ために無理な要求を真治にするようになる。
自分だけのことならそんな話を真治は受け付けないのですが、
でも二人の生活を支えなければならないとなれば・・・。
そんなことで、二人の気持ちがすれ違っていく。
美しい物語でした。
そうそう、この二人がいい感じになっていくところで、
いきなりムダにイケメンな金持ち青年(高杉真宙)登場。
果たしてこの人物は2人にとって幸となるのか不幸となるのか?・・・って、
高杉真宙さんなので、どうにも悪人に見えないのでしたが。
まあ、ストーリー上よきアクセントになっています。
「SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる」
2023年/日本/132分
監督・脚本:イ・ジェハン
原作:NASTY CAT「見えなくても聞こえなくても愛してる」
出演:山下智久、新木優子、山本舞香、夏木マリ、山口紗弥加、高杉真宙
障害克服度★★★★☆
愛情度★★★★★
満足度★★★★☆
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