映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「銀の匙8」荒川弘

2013年07月25日 | コミックス
厳しい現実を捉えながら未来を夢見る。う~ん、青春だっ!!

銀の匙 Silver Spoon 8 (少年サンデーコミックス)
荒川 弘
小学館


* * * * * * * * * *

何やら忙しい毎日の中でも、すっかりエゾノーに馴染んだ八軒。
さてところが、友人の駒場が学校にこない。
なんと、彼の実家の農場が倒産。
農場を売却し、駒場も働かねばならないという厳しい現実を知ります。
今作、ここまでは酪農は大変だけれどやりがいのある仕事、
そのようなイメージで進んできたような気がします。
けれど、さすが地元で現実を見続けた著者。
厳しい現実を突きつけます。
この期に及んで、こんな深まり方をするとは思わなかった・・・。
荒川弘、恐るべし。


他の皆は、駒場に同情はするけれど、
仕方ないこと、どうにもならないこととして受け止めます。
しか~し!八軒は違う。
何とかならないのか、
自分にできることは何かないのか、
必死に考え、行動しようとします。
ここまで来ると、お人好しも筋金入り。
彼のことだから、何かやりそうな気がしてしまいますね・・・。


また、将来馬関係の仕事をしてみたいと思っていたアキは、
家を嗣ぐのが当然と思っていた家族に、
ついに本心を明かします。


みんな、しっかりしているようでもまだ高校生。
農業という厳しい現実を見据えながらも、
それぞれの将来について、夢も馳せるのです。
ううん、これぞ青春ですねえ!
八軒は、どんな方向に自分の進路を見出すのでしょうか。
ますますこの先が楽しみです。


それから今回意外に思ったのは、
例の勘違いタカビー娘の南九条あやめさん。
この本の中では非常に普通でマトモなのです。
こんな表情をすることもあったんだー。
でもマトモすぎるとムダに美人なのでちょっとこわいくらいです・・・ハイ。


「銀の匙を持って生まれた子供は生涯食うのに困らない」
という外国の言い伝えがあり、
だから子供が生まれた時には銀の匙をおくり、
その子が一生食べるのに困らないように願う、という話。
それがエゾノーの食堂入口に飾ってある「銀の匙」の意味でした。
まったく、この学校の生徒たちも皆、
好きな仕事について、豊かに暮らしてほしいものだ・・・と願ってしまいますね。


「銀の匙8」荒川弘 少年サンデーコミックス
満足度★★★★★


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