言葉じゃなくても伝えたい
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漫画家押見修造さんが実体験を元に描いた、同名コミックの映画化。
吃音症があるために周囲とうまくなじめない高1の志乃(南沙良)。
そんな彼女が、いつも不機嫌そうな顔をして1人でいる同級生、加代(蒔田彩珠)と親しくなります。
音楽が好きで、いつかミュージシャンになりたいという加代は、
実は音痴で歌がうまく歌えない。
そこで、加代がギター、志乃がボーカルで、バンドを組もうと加代が言い出します。
志乃は歌ならすんなりと言葉が出るのです。
志乃は加代となら少しリラックスして言葉が話せるようになり、
文化祭で歌おうということになります。
そんな時、以前志乃をからかった同級生男子、菊地(萩原利久)が
バンドに加わることになり・・・。
加代は以前音痴であることを同級生たちに笑われて以来、
級友たちとは親しくしないようになっていたのです。
そしてまた、菊地は以前いじめに遭っていたことがあって、今は逆にハイテンション。
うるさくてウザくて、クラスの中で浮いてしまっています。
こんな3人はそれぞれにコンプレックスの塊。
だから本作は単に「障害を持つ少女」の物語ではなく、
誰もが持つコンプレックスと、そんな人々の意思疎通の難しさ、
そしてそれを乗り越え、心と心が通じたときの喜びを描く作品なのでした。
この3人であれば、うまくいきそうと思えるのですが、
志乃は加代と菊地の気があって盛り上がるのをみて、疎外感を持ってしまうのです。
そんな中では言葉も、歌さえもうまく声が出なくなってしまいます。
なんだか見ている私は、すっかり保護者のような気持ちになり、
がんばれ、がんばれ、歯を食いしばってもここを乗り越えろ・・・と祈ってしまいました。
えーと、2017年作品。
南沙良さんも蒔田彩珠さんも、最近テレビなどでよく見かけるようになっていますね。
今だからこその、記念碑的作品。
<Amazon prime videoにて>
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」
原作:押見修造
出演:南沙良、蒔田彩珠、萩原利久
コンプレックス度★★★★★
友情度★★★★☆
満足度★★★★☆
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