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「こうして誰もいなくなった」有栖川有栖

2021年10月03日 | 本(ミステリ)

ファンタジーからホラー、そして本格ミステリ

 

 

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有栖川有栖があの名作「そして誰もいなくなった」を再解釈し、
大胆かつ驚きに満ちたミステリに仕上げた表題作をはじめ、
ラジオドラマ脚本として描かれ、小説としては世に出ていない掌編や、
自殺志願者の恐怖と悔恨を描く傑作ホラー「劇的な幕切れ」、
書店店長の名推理が痛快な日常ミステリ「本と謎の日々」など、
一作たりとも読み逃せない名作揃い。

有栖川有栖作家デビュー30周年記念を飾る、華麗なる傑作作品集!!

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有栖川有栖さんの短編+中編集。

様々な場面に向けて描かれたものを集めてあります。
それなので、内容については若干とりとめはないのだけれど、
それだけにバラエティに富んでいて、楽しめます。

著者が言うように、ファンタジー色の強いものからホラータッチを経て本格ミステリへと、
おおよそグラデーションになるように並べてあって、
そのままにグラデーションを楽しむのがいいと私は思います。

 

それで、一番面白かったのは表題の一作「こうして誰もいなくなった」。
これだけでもう皆様は「そして誰もいなくなった」を連想すると思いますが、
まさしく、その有栖川バージョンになっています。

離島に呼び寄せられた人々が、一人、また一人と殺されていって、
最後には皆死んでしまう。
一体犯人は誰?というあれです。

となれば、ストーリー上死んだことになっているけれど、
実際には直接的にその「死」を確認できなかった人物が、犯人かなあ・・・
などと思いながら読んでいましたが、いやいや、そうではありませんでした。

登場するのは島内の人物だけ、というところから
一つ外れたところに隠されたトリックがあったのです。
ナイスです。

<図書館蔵書にて>

「こうして誰もいなくなった」有栖川有栖 角川書店

満足度★★★★☆

 



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