映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

脳内ポイズンベリー

2015年05月12日 | 西島秀俊
さあ、どっち???



* * * * * * * * * *

本作は、西島秀俊さん出演ということで楽しみにしていたんだよねー。
はい、真木よう子さんも好きなので、これは絶対見逃せません!
水城せとなさんのコミックが原作、ということで西島秀俊さんとしても異色作。



櫻井いちこ(真木よう子)は、ネットの連載小説作家なんだよね。
 ある日、以前に食事会で出会って、ちょっといいなあ・・・と思った年下の青年・早乙女(古川雄輝)とバッタリ出会います。
 まずは声をかけるべきや否や・・・、
 彼女の頭の中でてんやわんやの脳内会議が繰り広げられます。
 本作はその頭のなかの会議が実態として描写されるわけですね。
「理性」で議長でもある吉田(西島秀俊)

「ネガティブ」池田(吉田羊)

「衝動」ハトコ(桜田ひより)

「ポジティブ」石橋(神木隆之介)

「記憶」岸さん(浅野和之)

 しかし、それぞれの主張が食い違い、議長は迷いに迷いなかなか決断できない。
そんなわけで、西島秀俊さんの優柔不断男の百面相が楽しめるのであります!


本作、なんだか非常に納得できてしまうんだよね。
誰もがほんの瞬時にこんな風に色々な思いを駆け巡らせながら、言葉を発しているのだと思う。
確かにそうだよね~。
 とくにこれ、まさしく女性の考え方のような気がするから、
 逆に男性にとっては、女性心理のメカニズムの勉強になるかもしれない。
ここでは、いちこの脳内会議が描かれているわけだけど、
 早乙女や越智の脳内会議も見てみたい気がするよ。
そうだね、特に、いつも何を考えているのかよくわからない早乙女の頭のなかは気になる。
うーん、つまり人それぞれの脳内ではあるけれど、
 それぞれに強いキャラというのがあるのかもしれない。
いちこの場合は、「ネガティブ」が強いんだよね。
そ、吉田羊さんには迫力があった!!
「ポジティブ」なんか、神木隆之介くんがすご~く頑張っていたけど、
 途中死んでたし・・・。
 アート系男子の早乙女は、多分、「衝動」が強いのかな?

私は「衝動」と言うよりは、むしろ「情動」というべきのような気がする。
 ハトコちゃんは、感情主体だもんね。
となれば、越智さんはやはり「理性」の人。
 この人は感情をあらわにしたほうが、むしろステキにみえてくるから面白い。

早乙女か、越智か。
さあ、どっち!!


結末がなかなか予測がつかないところが、良かったよね。
そして、いよいよのその決断もまた・・・。


岸さんの「記録簿」にはところどころ「暗黒付箋」が貼ってある。
 決して思い出したくない、思い出してはならない記憶。
しかし、そう思えば思うほど、忘れられないものなのね~。
そうだよ、暗黒付箋なんか貼ったら、余計目立つでしょうが。


まあそんなわけで、虚構ではありながら、妙に説得力のある楽しい作品でしたねえ。
真木よう子さん、西島秀俊さんの起用はまず成功と言っていい。

あ、ところで脳内会議に突然侵入してきた怪しい女っていうのは何者?
まあ言わずもがなですが、それはやはり「女の本能」というやつなのでしょう。多分。

「脳内ポイズンベリー」
2015年/日本/121分
監督:佐藤祐市
原作:水城せとな
出演:真木よう子、西島秀俊、古川雄輝、成河、吉田羊、桜田ひより、神木隆之介、浅野和之

説得力★★★★★
コミカル度★★★★☆
満足度★★★★★


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