その日、生まれた「何か」
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謎めいた物語。
アイスランド、人里離れた山間部で暮らす羊飼いの夫婦、
マリア(ノオミ・ラパス)とイングヴァル(ヒナミル・ストイル・グブズナソン)。
ある時、羊の出産に立ち会うと、羊ではない「何か」が生まれてきます。
子供を亡くしていた2人は、その「何か」にアダと名付け、育てることに。
アダはすくすくと成長していきますが、
ときおりこの家の周辺に不穏な気配が・・・。
あまり詳しくは予習しないで見たのですが、
この物語、いったい何なのかと首をひねりながら見ていました。
ホラー? サスペンス? 不条理劇? 神話の変形?
シャマラン監督風の話に発展しそうでもある・・・。
そんなわけで、ストーリーの先行きについては全く予測がつかないのです。
2人で暮らしていたこの家に、突然イングヴァルの弟がやって来ます。
アダにとっては叔父ということになります。
これまでアダをよその人に見せたことはありません。
それで弟はアダを見てぎょっとするのですが、
意外にもそのことを受け入れ、実際にアダをかわいがるようにもなる・・・。
ここで何やら不穏な事件が起こりそうな予感だったのが、そうはならないのです。
母の狂的とも思えるほどの「子供」への愛情の注ぎ方は
逆に不穏なものを感じさせるのですが・・・
そして、この奇妙だけれど平和な生活を打ち壊すモノは
じわじわと近づいている・・・。
最後まで見てみるとこれは案外単純な話であることが分かります。
なるほど・・・。
たとえば、桃太郎が桃から生まれてきたり、かぐや姫が竹の中から出てきたり・・・、
そういうことからすると山羊から何が生まれてもおかしくはないのか。
・・・そういう昔話系?
それとも、異類婚の話なのか?
色々と想像を巡らしながら見るのも面白いですね。
アイスランドの冷涼な空気感、この家の他には人家がない広大な山間部。
夜なのに窓の外が明るいというのは白夜なんですね。
他にはなかなか見られない舞台背景もまた、ステキでした。
<シネマフロンティアにて>
「RAMB ラム」
2021年/アイスランド、スウェーデン、ポーランド/106分
監督:バルディミール・ヨハンソン
出演:ノオミ・ラパス、ヒナミル・ストイル・グブズナソン、
ピヨルン・フリーヌル・ハラルドソン、イングバール・E・シーグルズソン
不可解度★★★★★
満足度★★★☆☆
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