ジャガイモやトリュフなんか、ブタに食わせておけ
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フランス革命前夜のフランス。
世界で初めてレストランを作った男の実話。
1789年。
料理人のマンスロンは、料理人としてシャンホール侯爵の屋敷の厨房を任されていました。
しかしあるとき、自作のジャガイモとトリュフのパイを出したことで
貴族たちの反感を買い、クビとなり、息子を連れて実家へ帰ります。
ある日、ルイーズという女性が弟子にしてほしいと、マンスロンを訪ねてきます。
彼女の熱意に負け、料理を教え始めたマンスロン。
次第に失っていた意欲を取り戻し、
ルイーズと息子の協力を得て、貴族のためにではなく、
一般の人々のために開かれたレストランを開店します。
さてところが、ルイーズはある秘密を抱えていて・・・。
当時、ジャガイモは地下に成るものということで、
ヤボで下品なものとされていたのですね。
ジャガイモとトリュフのパイを供されたある貴族は言う。
(正体を知らなかったときはおいしいと思っていた。)
「地下のもののジャガイモやトリュフなんかブタに食わせておけ!」と。
いやいやいや、これ、おいしいでしょう、マジで。
今なら超高級品。
そして当時は、料理人の作る洗練された美しい料理というのは、
貴族だけのもので、庶民には「外食」ということはなくて、
旅籠などで出される食事も、単に空腹を満たすもので、
食の楽しみを味わうようなものではなかった。
マンスロンは自信作のパイを、貴族のただの思い込みで
けなされたことに絶望してしまっていたのです。
そしてこれがフランス革命直前という時代背景であることにまた、意味があるのです。
貴族の横暴に、すっかり庶民は嫌気がさしていた。
貴族による勝手な重税、自分たちだけの贅沢。
そうしたことに反感を募らせる人物たちも出てきて、時代は変わろうとしている。
(マンスロンの息子も、そういう思想にかぶれています。)
女性は料理人にはなれないというお定まりの風潮の所に
女性を差し込んだのは、今時の作風ではありますが、
そうは言っても、やはりここのところがいい。
世界で初めてレストランを作った男の物語と聞けば
グルメがメインかと思いきや、意外に楽しめる歴史の物語でもありました。
<Amazon prime videoにて>
「デリシュ!」
2020年/フランス・ベルギー/112分
監督:エリック・ベナール
出演:グレゴリー・ガドゥボア、イザベル・カレ、バンジャマン・ラベルネ、ギョーム・デュ・トンケデック
歴史発掘度★★★★☆
グルメ度★★★★☆
満足度★★★★☆
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