疎開保育園
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第二次大戦中に実際に行われた「疎開保育園」を題材にしています。
学童疎開の話はよく聞きますが、保育園児に対しても行われたことがあったのですね。
1944年、保母たちが幼い園児たちと共に、埼玉の荒れ寺で疎開生活をはじめるのです。
おそらく小学生でも親が恋しいと思うでしょうけれど、幼児ならばなおさら。
年端の行かない子どもと離れるのは忍びなく、この疎開については親の方にも抵抗があったのですが、
いよいよ東京にも空襲が始まり、
少しでも安全なところで子どもを過ごさせたいと思うようになったのです。
(もちろん、参加は希望者のみですが)
本作では、この疎開の提案者、バリバリのやり手保母・楓(戸田恵梨香)と、
新米のドジ保母・光枝(大原櫻子)を中心に話が進みます。
最大の保母さんたちの悩みは、親から離れて精神の安定しない子どもたちにオネショが増えてしまったこと。
布団乾燥機もない当時なら、オネショは本当に大変だったろうなあ・・・。
さすがに、常に保母の目が行き届く態勢で、まだ子どもたちも幼いとあって、
学童疎開でよく聞く「いじめ」がなかったのは幸いでした・・・。
ただ、必ずしも地元で温かく受け入れられたわけではない、というのもちょっと切ない。
保母の一人と地元の青年がちょっと会話を交わしたくらいで、
その仲を疑われて中傷を受けたりもします。
そんな中、ついには東京の大空襲で子どもたちの家族が亡くなったりするのです。
両親の亡くなったことを子どもに伝えなければならない・・・。
そんな時のつらさ。
まさに、涙、涙・・・。
戦時中の銃後の女たちにとっても、やっぱり日々の生活は「戦争」だったのだなあ・・・。
どこにぶつけていいのかわからない楓さんの「怒り」が際立ちます。
<WOWOW視聴にて>
「あの日のオルガン」
2018年/日本/119分
監督:平松恵美子
原作:久保つぎこ
出演:戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、堀田真由、福地桃子、田中直樹、橋爪功
怒り度★★★★☆
満足度★★★★☆
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