『シスターズ』全12エピソード、楽しませてもらった。
毎回、逆転、反転、宙返りありで、いいように引っ張り回されて、それがなんとも心地よかりし12日間だった。
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3人姉妹、それぞれが個性を十分に発揮しつつもお互いを思い合う、悪くない仕掛けだな。自分の信じる道を各々選んで出発するってラストもちょい感動的だった。
そんなに上手く行くかよ!
なんていちゃもんは韓ドラにゃ用なしだぜ。
韓ドラ楽しむお約束、その➀ってとこさ。
ついでに、警察・検察がほとんど無能?ってか、主人公たち素人に任せっきりで出て来ない、ってのも、いつものパターン、疑問に思っちゃいけないよ、当然捜査に乗り出す状況でも動きなしだからって、それ韓ドラのお約束だから。
さらに、貧乏人あるいは恵まれない境遇の人の反逆ってテーマが多いのも、韓ドラならではだな。
ざっと思い付くだけでも、『マイディアミスター』のひねくれ少女、『ミセン』の囲碁挫折の高卒男子、『トッケビ』のこまっちゃくれ女子高生、あっ、この『シスターズ』の長女役だって、うーん、上手に歳重ねたなぁ、美人じゃないがお人よし、妹思いで時折吹っ切れる度胸あるお姉さん、魅力あった。でも、このタイプの顔立ち、韓国じゃ美人なのかも?酒井順子が『消費される階級』の中で書いてたな、日本と違い一重瞼でも美人認定されてるって。下の写真は美人に撮れてるけど、正面から見ると・・・
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他にも『梨泰院(イテウォン)クラス』、『イカゲーム』、『スタートアップ』、『無人島のディーバ』。おっと前回見た『財閥家の末息子』も忘れちゃなんねえよ。さらに、昨日から見始めた『ペントハウス』だった。貧しさゆえの半端ない反発力!
貧者が金持ち相手に奮闘して成り上がる、このストーリーやたら多いんだよ、韓ドラにゃ。韓ドラなんか見て暇つぶししながら鬱憤はらしてるのが、下積み層だからってことだろうけどな。
韓国の格差社会の厳しさってこともあるのかも、って、日本だってかわらんのだけど。
日本なら判官びいきってところかな。九郎判官義経は貴種だけど、兄頼朝に妬まれ散々にいじめられる。
って、ことは、このテーマ、普遍的ってことかもな。
『シスターズ』の3姉妹、”とんでも父母”に見捨てられてどん底貧乏、そこから3人それぞれの伝手を頼りにハラハラドキドキのサスペンスをかいくぐって大楕円にたどり着く。つまり、成り上がる、は言い過ぎ。それぞれの願う道を順調に歩み始めるってところかな。
ただ、貧乏とか金がないとかさかんに言い立てているわりには、金持ちの叔母さんがバックアップしてくれたり、アメリカ留学帰りのユーチューバー?が恋人だったり、闘う相手の大金持ちが末娘を手名付けたりと、なんか、けっこう三人とも裕福じゃん!やたらシンガポールとか行ってるし、って、
これも韓ドラのお約束、主人公をあまり惨めに卑しく描いちゃダメって、法則に従ってるってことなので、気にしない、気にしない。
ストーリーを秘密の力で引っ張るのは、ベトナム由来の青い蘭を絆につながる青蘭会って得体の知れない組織。
なんとこれがベトナム戦争の生き残り集団で、様々悪さしてその悪の権化と3姉妹との戦いということなのだ。
ここが大いに興味をそそられた。
ベトナム戦争への韓国軍参戦がどのうように意識されているか、ぜひ知りたいって思っていたからね。ほら、ベトナム村民虐殺なんかもあったことだし、そんな負の歴史に食い下がるのか?って興味津々、ラストまであれこれ空想しながら見ていたんだ。
たしかに隠された歴史にゃ違いなかったけど、アメリカCIAの肝いりで作られた特殊作戦部隊の残党の話しだった。詳しくは描かれなかったが、後方かく乱的に暗殺などの策謀を秘密に理に担った内密の部隊。
戦争終結、あるいは、戦線縮小の影響か、CIAからも韓国軍からも見捨てられ、生死の狭間を青い蘭の魔力で辛うじて生き抜き帰国した20数名の元兵士たち。その怨念に満ちた復讐行動を、物語の背景に設えてあった。
ベトナムからはこのドラマに批判の声が上がったって話しも聞いたが、そうだろうな、この特殊部隊が実在したとすれば、ベトナムに対しては相当あくどいことをしたはずだから。
納得できたか?って言ったら、うーん、消化不良だなぁ。
密かに帰国したメンバーたちがしたこと、不正な金儲け?その豊富な資金で病院やら介護施設やら児童養護施設を作る、そして、大ボス隊長の跡継ぎを大統領に押し上げること?人殺しさえ辞さないダーティな男を大統領にして、何がしたかったんだ?
その過程で次々メンバーが死んでいったらしいのはどんな背景なの?一人離れて会を離れ、跡継ぎの暗殺を企てる元兵士を駆り立てるものはなんなの?
途中、秘密めかして断片が折々差しはさまれるけど、解決はラストで一気、それも最後に裏切者として殺される児童施設校長の回想録として!?それって安易だよな。
物語の背景として借用してみたものの、十分に生かしきれず、悪役主人公の凄まじい異常性でストーリーを回すことに引きづられ、いや、そちらが本筋でミステリーがサスペンスに道を譲ってしまったってことなんだろうな。
あと、後からそのシーンを別角度から見て種明かしってのも、韓ドラには多い手法のようだが、これもちょっとフェアでないかな。
などと、不満もあったが、伏線の回収はどれもとても見事で、特に、先の回で何気なく語られた言葉が、ラストで女たちの踏み出す一歩を押す力になっている点、これはぜひ参考にしたいって思ったな。