置賜農業高校生と活動発表会、演劇部はコント&ダンス『俺の話を聞け!』で勝負した。いえ、勝負ってほどじゃないけど。
クレージーケンバンドの『タイガー&ドラゴン』でダンス踊って、そこに出てくるさびの言葉、『俺の話を聞け!』をテーマにコントを6本作った。昨年は、ちょっと高尚すぎる?コントを作ってしまって会場を白けさせてしまったので、今年は、高校生、それも男子生徒の受け狙いで行った。
まずは、オープニングのダンス。思い切って男達を全面に押し出した。2尺8寸の高足平台の奥から斜に構えて5人が一斉に登場。狙い通り、やんややんや、の大喝采。曲いいものね!スカジャン着た男達カッコイイ?ものね。たとえダンス下手でも。
そう!下手なんだよ、奴ら。だから、あいつらを前に出すってのは、かなりの冒険だったんだ。男たちより、ちょっとはマシに踊る女たちは、むくれるしね。どんなに練習してもふり間違うし、目線は自信なく落ちてるし、男の哀愁を漂わせろ!なーんて言ったって、てんでわかっちゃいないし、正直、お前ら後ろ!最後列!!っと怒鳴りつけたい瞬間が何度もあったんだ。
でも、我慢した。ぐっと、忍んで、こらえて、飲み込んで、目をつぶって我慢した。その分、徹底的に怒鳴り散らした。真剣に怒った。腹の底から怒鳴り飛ばした。そりゃもう、かなりの悪口雑言、罵詈罵倒だった。で、こういうのが、効くのが男なんだよ。いや、あいつらが鈍いだけか?そうかも知れない。奴らも、耐えた。僕の悪罵に耐え、女たちの愚痴や嫌みに耐え、何回ものやり直しに耐えた。
その結果が今日の拍手喝采だった。奴らが一気に上達した、なんてわけないだろ。そんなのは劇画の中だけのこと。ステップまともに踏めない奴が、三日や四日で上手くなるはずがないって。ようやく!ようやく!!そこそこの線にはたどり着いたってことなんだ。つまり、ああ、踊ってるな、あっ、これダンス、って見る人が感じられる程度ってことね。
で、それが大事なんだ。そこそこ?いやいや、男がこの曲で踊ってるってことだよ。『タイガー&ドラゴン』って、なんたって男の歌だから。どんなに上手い女でも、そこそこの男に敵わない。やっばり、男でなくちゃ。そう!これが僕の狙いだったんだ。わかってくれたろうか?不満たらたらの女どもは。
これをぐぐーっと、拡大解釈すれば、その役者の持ち味が決め手だってことなんだ。上手い下手の問題じゃない。男にしかできない役がある。当然だろ!たとえ下手でもこの役者の方が映えるって役がある。お前上手いけど、この役には使えない。棒立ちでも、こいつ、なんか、しっくりくるって奴がいる。こういうことなんだよ。役者の華なんってことも、結局、ここにかかわることなんだな。
って、ことは、華の無い奴は、どんなに上手くても、どんなに努力しても、ダメ!ってことか?う~ん、厳しい!!演劇ってそこんとが、凄くシビアだと思う。否応なく己を知らされるってところ。己を知れ!って前回も書いたことにつながるわけだ。
でも、そこからが、奥の深い所だと思んだ。舞台は2枚目だけで成立しやしない。芝居はかっこいい男女のラブロマンスだけじゃない。颯爽と踊る奴らだけで成り立つものじゃない。さえない奴にも、どうしようもない奴にも、つまらん奴にも、出番はある。キラリと輝くやくどころが ある。だって、人間を描くのがドラマなんだから。そこが狙い目なんだよ。
己の何で勝負するのか?それに気付いた時、その役者は確実に一歩抜け出すことができるんだ、と思う。