困ったもんだ!歳とったらいくらかでも柔和になんのかと思ったら、とんでもない!やたら暴言が激しくなってきている。数年前だったら、決して言わなかった「下手くそ!」とか、「どじ!」とか、「ワンパターン男!」なんて言葉がぽんぽん出るようになってしまった。
いかん、まったくいかん!かの灰皿投げの著名演出家だって、最近はぐっとおとなしくなったっていう話なのに、なんだ、僕は、暴走老人への道をひた走っているではないか。そんな罵詈雑言を浴びせられる部員たちはどんな気持ちで聞いているだろうか?
間違いなく言えることは、歳をとるにしたがって、相手の気持ちを思いやるのが面倒になってきているってことだな。怒ったっていいよ、泣いたっていいよ、そんなこと気にしない!ってことなんだ。それより、どうしてこんな簡単なこと出来ねえんだ!いつまで一本調子やってんだよ!アクセント違う!おめえの耳はなんのためにあんだ?・・・・・・もう、感じたまま、思いついたままだもの。言われる方は非道いべね。
でもね、ちょっと思い出してみると、最近の連中は稽古で泣かないんだよ。どんなぼろくそ言われたって泣かない。うん、そうだ、泣かない。以前は違ったねえ、今菜の花座にいるタイチなんか、しょっちゅう唇噛んで涙こらえてた。いやいや、僕のこと睨みつけながらぽろぽろ涙こぼしてた。
どういうことだ?丁寧な言葉でダメだししてたときの方が、よっぽど生徒にゃこたえたってことなのか?うーん、そうかもしれない。つまり、こうだよ。以前は、言葉は優しいけど、絶対許さないっていう気迫がみなぎっていたんだろうな。でも、今は、やたら言葉汚くののしるけど、部員たちは、ああ、爺さんまた咆えてるよ、ってな具合で軽~く聞き流しているに違いないんだ。そういえば、最近稽古に張りつめた緊張感が欠けているかもね。笑い続出だもの、今日だって。暴言もスキンシップみたいなもんなんだろう。
まあ、それでも置農演劇部としては、ちょっとずつ上手くなっていってるようだから、今のままでいいんだろうな。暴言!暴走!!稽古は爆笑!楽しくやろうぜ、気なんか使わずにさ。