介護別居中の神さんは月に2度ほど帰って来る。てことは、月に20日以上は独居老人なんだが、別に不便はないなぁ。掃除は好きじゃあないが、ほこりに埋もれたりなんてしちゃいない。加齢臭?いやだぁ!なんて顔を背けられたくはないから、洗濯、入浴は以前に増して熱心だ。食事の方はもう得意分野だからね。朝昼晩、欠かすことなく自前で調理。外食、買い食い、ほぼゼロだ。金がないからってことが大きいけど、外で食ったって大して美味かないもの。
もともと作るのは好きでも、食べるのは超のつく早食いなんで、孤食、味気ないなぁ、なんて感傷に浸ってる暇はない。あっという間に食べ終わる。片づけはやや苦手だが、それも、テレビで見たゴミ屋敷老人の台所の惨状なんかがチラと頭に浮かんで、さっさと洗い物は済ませる習慣が身に付いた。
ただ、美味く早くに傾斜すると、一人じゃ絶対にしない料理てのも出て来る。鍋物とかバーベキューとか、わいわい複数人で突っつき合う料理、こいつは無理だなぁ。敢えて鍋に挑戦することがないわけじゃないが、それは豆腐が余ってるとか、豚肉と白菜ささっと食べる方法は?なんて手抜きの方便としてだ。鍋物の他に、一人じゃやらない料理の一つが、ストーブグルメ・ストーブグリルだ。
なんて、言うほどのことはない。いたって簡単。薪ストーブに特製バーベキュー網を突っ込んで肉や野菜を焼くだけのことだ。別に面倒でも準備が必要てわけでもないが、何故か、一人だとやる気がおこらない。幸い、ちょうど神さんも戻ってきていることだし、よしっ、今夜は薪ストーブでソーセージを焼こう。
この特製グリル、ストーブ購入時におまけで付けてくれたものなんだが、これがなかなかのすぐれものなんだ。ストーブ内の熾きと適度な距離を保って固定しておくことができる。いかつくて、普段はちと持て余し気味だが、いざ使うとなると機能としても、デザインとしても申し分ない。
グリルを時折引き出して、裏返したりしつつ5分ほど、ほれほれいい臭いが漂い始めたぞ。この方法で焼くと、皮がぱりぱりに焼けて、中からは肉汁がとろーり、ソーセージの食べ方としては間違いなく最高だ。しかも、しかも、ソーセージは世界食肉コンテスト連続受賞中のファインのものだから、こりゃもう、美味くないわけがない。
焼きあがったソーセージはカレー風味とチョリソー。これにだっぷりのジャガイモサラダ。シンプルだけど、またとない食卓だ。こういう楽しむ食事、これはやっぱり家族と一緒じゃないとね。おっと、薪ストーブのお陰でもあるなぁ。